
ノースカロライナ州の湿地帯で、地元の人気者の青年が変死体となって発見された。
犯人として疑われたのは、人々から「湿地の娘」と呼ばれる少女カイア。
弁護を申し出たミルトンに心を開いた彼女は、その生い立ちを語り始める・・・。
父親の暴力に耐えかね、母が家を出、やがて姉や兄も・・・。ついには父親も彼女を置いて家を出て行ってしまった以来、6歳の頃から学校へも通わずに湿地の自然から生きる術を学び、たった1人で生き抜いてきたのだった・・・・。
ディーリア・オーエンズの原作がとても良かったので、これは絶対劇場へ行きたいと思っていました。近くのシネコンではやってなかったので、朝7時に家を出て綾川イオンモールへ到着~♪
8時25分開始の3番スクリーン。

動物学者である著者が69歳で(驚き!)書き上げた原作は、その自然描写がとにかく素晴らしかった

映画でも冒頭から湿地帯の風景に引き込まれました。
でも、原作を読んで私の頭にず~っと浮かんでいたのはもっと暗い湿地だったのよね~、なぜかしら?カイアの抱えてきた孤独のせい?
そう、小説ではずっともっと、強く彼女の孤独感を感じていました。
映画は驚くほど!とても美しかった
湿地帯も、カイアたちの住む家も(とっても魅力的な家、住みたくなるような)そう、カイア自身も!!

成長したカイア(幼いカイアを演じた子役の少女も素晴らしかった!)を演じるデイジー・エドガー=ジョーンズの、人慣れしていない自然っぽさと透明感ある美しさがあんまり魅力的なので!!
痛いほど、辛いほど感じたカイアの孤独を映画では原作ほど感じなかったのかも。ロマンスパート多かったよね?!(^^)!
物語は逮捕されたカイアが裁判にかけられる法廷でのシーンと、彼女の生い立ちから初恋の人テイトやチェイスとの出会いを並行して描いていきます。
幼くしてひとり(暴力をふるう父のもとに)置いていかれてしまうカイア。なぜ誰も彼女を一緒に連れて行ってくれないのか?原作を読んで憤慨した思いをまたまた感じたわ~(>_<)
初めて学校へ行こうと裸足に大きすぎるスカートを巻いた姿や、ムール貝を持って雑貨店へ行くシーンにはやっぱり胸が熱く、痛くなる。雑貨店の夫妻の優しさが沁みる(涙)
湿地帯で暮らすカイアの姿からは目が離せないし、法廷シーンはドキドキしたし・・・驚きのラストも(読んでいるので)知っているとはいえ、あくまで静かに提示されたそのシーンには余韻すら感じて・・・映画も良かった♪
良かったんだけど~~、ひとつ!!残念に思ったのは小説の中でとても印象的だった、カイアが深く思いを込めていた“詩”の存在が映画では消されていたこと。
カイアの書き上げた生き物たちの絵の精密さ、美しさは映像でとてもよく表わされていたから・・・詩まで登場させるのは難しかったかなぁ。
原作には原作の感動が、映画には映画の面白さがあるのだ・・・とまた改めて感じました。
湿地をボートで行き来する(時にはそこが隠れ家となり)様子、貝や鳥の羽までがこんなにも美しい!湿地帯と言うある種特殊なロケーションを美しく生かした映画でした。
そんな映画を観て、今また原作を再読したい気持ちが高まっています(*^-^*)
人ではなく、生き物たちに生きるすべを学んできたカイアだからこそ、ラストの真相も驚きと同時に納得の思いも持ちます。
差別でも偏見でもなく、そういう意味で彼女はやはり「湿地の娘」でした。
自然から学び、孤独にさいなまれながらも誰よりも強く生き抜いた・・・。
- 映画タイトル(さ行)
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11月も終わり「スーパーノヴァ」「リコリス・ピザ」を鑑賞しました♪ |
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なるほど、原作にはそういった詩が出て来るんですね。
この映画は「こう見せたい」というヴィジョンだけはしっかりとしていたので、映画化に際してどこか端折るのは正解だと思います。映画の内容的にあれでも少し長いかなと感じましたので。
あの雑貨屋の黒人夫婦の親切はホンマに素晴らしくて、今の世の中では失いかけている守り守られの関係やと思います。
昭和って、ホンマに優しい近所のおっちゃんとかおばちゃんがいましたものね。
- 2022/11/24(Thu) 21:13:30 |
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- ゾンビマン #-
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こんにちは。
「全米ベストセラーがー」と言われていたので斜に構えておりましたが、想像していたよりもずっと良い作品でした。斜に構えたこと反省です。
原作には詩の存在があったということ、それは取り入れて欲しかったですね。
ラストはあれはきっとハッピーエンドなのだろうな、と思いました。
- 2022/11/25(Fri) 10:07:36 |
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- ここなつ #/qX1gsKM
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瞳さん、こんにちは! わ~い、早速ご覧になったのですね♪
私も私も!そうそう、映画作品からは詩情が感じられなくて残念に思いました。
あと、原作で少年時代のテイトがキャップに手を当ててカイアに挨拶する仕草が大好きだったのですよ。
だから、少年時代のテイトがキャップかぶってなくてガッカリ・・・。
細かいところだけど、そこは小道具さん(衣装さん?)こだわってほしかったわ~。
やっぱり読むのが先だとどうしても映像化作品に求めるものが多くなってしまいますよね。
でもほぼ原作通りの展開で、製作側の原作リスペクトは感じましたね。
- 2022/11/25(Fri) 18:17:09 |
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- 真紅 #V5.g6cOI
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>ゾンビマンさん
こんばんは。
原作に沿った展開で映画もとても良かったんだけど、「詩」も入れて欲しかった~~。
原作と映画は別物・・・と常々思ってはいるんだけれど、先に小説を読んでいるとやっぱり自分の頭の中に広がってる世界がありますね。
雑貨屋のご夫婦・・・いい人でしたよねぇ(感涙)弁護士さんも。ああいう風でありたいな~と思いました。
昭和って近所の大人との距離が今よりずっと近かった気がしますよね!(^^)!
- 2022/11/25(Fri) 20:58:32 |
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- 瞳 #-
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>ここなつさん
こんばんは。
コメント&TBありがとうございます。
本作、全米ベストセラーという気負い?のようなものが感じられない作品でしたよね。湿地と言う舞台とカイアの魅力がとてもよく出ていたと思いました。
「詩」をどういう風に使ってるんだろうと楽しみにしていたんですよ。なのでそこは残念でした。
ラスト、驚きと不思議な安堵?といったらオカシイのですが、パズルがぴたりとはまった感じもありましたよね。
- 2022/11/25(Fri) 21:04:45 |
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- 瞳 #-
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>真紅さん
こんばんは。
コメントありがとうございます。真紅さんも原作を読んでいらっしゃったので映画ももう行かれたかな~。感想伺いたいな♪と思っていたところでした(*^-^*)
やはり!?真紅さんもそう思われたんですね。詩は・・・少しでもいいので入れて欲しかったですね。
>少年時代のテイトがキャップかぶってなくてガッカリ・・・。
あぁ~~!!確かに!確かに!真紅さん、よく見てる~!!かぶってなかったし、仕草も無かったですよね。
>やっぱり読むのが先だとどうしても映像化作品に求めるものが多くなってしまいますよね。
そうなんですよネ。とりわけ小説に入り込んでしまった作品だと、頭の中に自分の思う(小説の世界が)広がってしまってるんですよね。
でも、変に変えてあったりしなくて良かったですよね。なにより自然がとても美しかったですね。
- 2022/11/25(Fri) 21:32:30 |
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- 瞳 #-
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瞳さん、原作も読まれたんですね!
実は私、この原作本を買っていながら(普段小説は図書館と決めているのにわざわざ買っておきながら・・)積読のまま読んでいないんです。
映画を先に見ようか?原作が先か?迷っていたら、
>原作には原作の感動が、映画には映画の面白さがあるのだ
というお言葉、そうそう、そうですよね!
で、結局、見ようか否か、迷ってます(笑)
- 2022/11/26(Sat) 10:45:47 |
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- tonton #-
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>tontonさん
こんばんは。
原作、友人に勧められて図書館で借りて読みましたよ。(人気でかなり待ったと思います)
tontonさん、原作本をお持ちなんですね!!あぁ~、いいな~。今映画を観て再読したくてたまらないんですよ!(^^)!
原作が先か、映画が先か?迷いますよね~。
本作に関していえば、映画を先に見る方がお薦めかな~と思いました。
ミステリー部分も読んでない方が驚くと思いますし、心理描写とか、あとからじっくり小説で補完していけるかな・・・と。でももちろん、原作先に読んでても映画良かったです。
私はtontonさんがご覧になってた作品が気になってますよ~(笑)
- 2022/11/26(Sat) 19:05:28 |
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- 瞳 #-
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瞳さん、おはようございます。
わー、早速(そして遠征して)見に行かれたのですね。
期待を裏切らないすばらしい作品のようでよかったです。
私もだいぶ前に原作を読み始めたのですが
途中で止まっていまして...
でも映画が公開されている間に是非見に行きたいと思います。
瞳さんがおっしゃるように、原作よりも映像が美しいし、ヒロインも美しい。
(もっと暗くて悲惨な雰囲気を想像していたので...)
でもその分、映画として見やすく、つらくならずに見れそうです。
原作者が動物学者というのは知らなかったです!
自然の描写も見どころありそうですね。
ノースカロライナの湿地帯は、以前住んでいたバージニアから
わりと近いのです。そんなこともあって楽しみにしています。
- 2022/11/27(Sun) 10:33:11 |
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- セレンディピティ #.usTzc9U
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>セレンディピティさん
こんばんは。
セレンさんも原作を読まれているんですね。
原作、まだ小さいカイアの置かれた立場とか辛くて・・・私も一度本を閉じたことがありましたよ。
>(もっと暗くて悲惨な雰囲気を想像していたので...)
でもその分、映画として見やすく、つらくならずに見れそうです。
まさに!そうなんですよ~!!
私ももっと暗いイメージを予想していたのですが、映画はとても美しく撮られていて、その点、とても見やすかったです。
原作の湿地の自然描写があまりにも見事だったので、ディーリア・オーエンズさんが動物学者と聞いて、なるほど~!!と頷けました。
映画で描かれる湿地も美しかったです。
セレンさんの住んでいらしたバージニアから近いんですね。私はどうもアメリカの州や町の位置関係?がピンとこなくて・・・!(^^)!
それはとても楽しみですね。
- 2022/11/27(Sun) 19:59:09 |
- URL |
- 瞳 #-
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見てきましたよ〜!
いやはや美しかったです。ヒロインも、自然も、親切な人々の心も。
おそらくその美しすぎる描写が物足りなさでもあるのかな?と、原作未読ですが思いました。きっともっと彼女の暮らしはシビアだし孤独なはずだし、自然も美しいだけじゃないだろうし・・・。
女性向け映画という印象で、ともかく美しい映画を見た、という余韻です。男子2人はイマイチ見た目にインパクトがないような?(笑)
- 2022/11/29(Tue) 13:41:46 |
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- tonton #-
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>tontonさん
こんばんは。
観てこられたんですね!早速コメントいただいて嬉しいな♪
>おそらくその美しすぎる描写が物足りなさでもあるのかな?と、原作未読ですが思いました。
きっともっと彼女の暮らしはシビアだし孤独なはずだし、自然も美しいだけじゃないだろうし・・・。
まさにまさに~!!そうなんですよ~~!!
原作で感じた深い深い孤独とか暗さがないぶん、見やすくはあったんだけど、逆にそこが物足りなさも感じてしまうんだと思います。
tontonさんの原作読んでの感想が楽しみですよ。
男子二人、中身?は全然違うんだけど、見た目はわりと似てましたよね。濃い顔好きのtontonさんには絶対インパクト足りないと思います(笑)
- 2022/11/29(Tue) 18:51:23 |
- URL |
- 瞳 #-
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こんばんは。
私も原作に感銘をうけたくちなので、早く見に行きたいのですが、近場で上映してない事もあってなかなか見にいけずにいます。
映像が美しいみたいで、それはすごく期待出来そうですね。ただ。私がこの作品から個人的に感じた壮大なテーマ(勝手に感じただけですが。^^;)が、同じく感じ取れるかどうか。
とにかく鑑賞して確認したいです!
- 2022/11/30(Wed) 22:07:15 |
- URL |
- ごみつ #-
- [ 編集 ]
>ごみつさん
こんばんは。
ごみつさんも原作を読まれているんですね♪
映像とても美しかったです。私が小説から受けた湿地のイメージよりも明るかったですよ~。
>個人的に感じた壮大なテーマ(勝手に感じただけですが。^^;)が、同じく感じ取れるかどうか。
映画は小説ほど深さや重みは無かったので(とても観やすかったのですが)、そのあたり、ちょっと物足りないかもしれません。
ごみつさんの感想楽しみにしていますね。
- 2022/12/01(Thu) 20:07:46 |
- URL |
- 瞳 #-
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本読まれたのですね。最近は目が疲れるので本を全然読んでないのです。
でもこの本はとっても読みたいです!
とにかくカイアの壮絶な人生には驚くばかり。
弁護人を引き受けるトムが、事件前バーのようなスポットで、”今は弁護士ではない”発言思い出しました。彼がカイアの弁護人を名乗り出たのは、カイアを守りたかったのでは?なんて想像しました。トムは知っていたのでは?と思った次第です。
カロライナの自然が美しかったですね。
- 2022/12/01(Thu) 20:13:35 |
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- margot2005 #-
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> margotさん
こんばんは。
コメントいただいたのに反映できずに申し訳ないです。
そちらで(うちへの)コメントをいただいたので、私の方から貼らせていただきました。
原作、お勧めします。動物学者でもある著者の自然描写が素晴らしいんです。小説の中には詩も何度も登場して映画とはまた違った情感にも溢れていました。
湿地とともに生きることになったカイアという少女の人生にも驚かされますね。
そうでしたよね、トムは弁護士を退いていたのに彼女のために弁護を引き受けてくれましたね。
学校へ行こうとする幼いカイアにかけてくれた言葉も、そしてあの最終弁論にも心打たれました。
- 2022/12/01(Thu) 20:25:48 |
- URL |
- 瞳 #-
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瞳さん、こんにちは!
これって、そもそも69歳で書いた作品だったのねー。それ、今日初めて知ってびっくり。すごいわー。
で、映画だけど、瞳さんは詩の処がカットされていたのが残念だったのね。
私は潔くカットしちゃったのも悪くなかったかな?って思ったの。彼女が多才過ぎるんじゃ?って思っていたから・・・
ただ、才能うんぬんを抜かして、詩的な部分がこの作品からごっそり抜けちゃったのは、別のムードになっちゃって、少々別の作品になっちゃった感があるよね・・・。
自然や映像は素敵でした♪
- 2023/02/28(Tue) 10:46:37 |
- URL |
- latifa #SFo5/nok
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>latifaさん
こんばんは。
ご覧になったのね~♪コメント&TBありがとう。
そうなんですよ、69歳で!!凄いよね。なんか勇気もらえちゃう(笑)
>私は潔くカットしちゃったのも悪くなかったかな?って思ったの。彼女が多才過ぎるんじゃ?って思っていたから・・
なるほど、なるほど~!!
私は原作の詩のところがとっても好きだったのでそう思っちゃったけど、
確かにいろいろ描きすぎると焦点ぼけちゃうところがあるし、
映画は原作とはまた違うムードで仕上げていたものね。
自然がすごく美しかったですよね~♪
そしてカイアも綺麗だったわ。
- 2023/02/28(Tue) 22:15:06 |
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- 瞳 #-
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犯人探しをする映画ではない。これは人権の映画だ。カイア(デイジー・エドガー=ジョーンズ)は、父親のDVに耐えかねて母親が家を出て、その後次々に兄弟姉妹が家を出て、最後に父親までもが出て行った為、幼い頃からノースカロライナの沼地に立つ家にたった一人で住んでいた。学校にも行かず、薄汚れた服に裸足の彼女は、町の人たちからは「沼地の娘」として蔑まれていた。味方といえるのは、夜明け前に取ったムール貝を...
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