
博物館でガイドとして働いているウンディーネは、ベルリンの都市開発を研究する歴史家。
恋人ヨハネスの心変わりから別れを言い出され、ショックを受ける彼女は、博物館で彼女のガイドを受けた潜水作業員クリストフと出会う。
急速に強く惹かれあう二人。だが、街角でヨハネスとすれ違ったウンディーネの鼓動からクリストフは彼への想いを疑い・・・・。
クリスティアン・ペッツォルトは、新作が出ると絶対観ようと思う監督さんのひとり。
本作は、これまでとは全く違う水の精をモチーフにした作品と聞いてとても楽しみにしていました♡しかもしかも・・・『未来を乗り換えた男』での共演も素敵だったフランツ・ロゴフスキとパウラ・ベーアの再共演
監督の作品、やっぱり好きだ~~~
本作を観て改めてしみじみそう感じます。
とらえどころがない・・・というか、すごく不思議ですごく魅力的。
それは決して大作でもエンターテイメントでもないけれど、胸のどこかに残っていて離れない。観終わった後の余韻がいつまでも残っている・・・・。
冒頭、恋人(らしい)ヨハネスから別れを告げられるウンディーネ。
けれども彼女は、電話での彼の言葉の方を気にしたりしてなんともチグハグな、分かっていないかのような様子、
「あなたを殺さなきゃいけなくなる」という唐突な台詞にも、どこか普通の人とは違う危うさを感じてしまう。
一方、職場でガイドを務める彼女はとても優秀で、しっかりとして話しぶりも魅力的。彼女の語るベルリンの歴史にぐいぐい引き込まれました。
水の精というファンタジー要素の物語に、ヒロインにしっかり職業を持たせた・・・監督の作品はいつもリアルさと不思議さ加減が絶妙だと思う。沼が語源だというベルリンの物語もウンディーネの舞台にぴったり。
クリストフとウンディーネの出会い、カフェの水槽がいきなり割れるシーンに驚き!!
クリストフが潜水中になまずに出会う場面や、二人が一緒に潜水したり、後半のヨハネスのプールでのあの

シーン。
“水”のシーンがとても印象的なのだけれど、その一方で電車での再会や別れ、ウンディーネのアパートで愛し合う様子、情熱的なウンディーネの姿もまた、強く印象に残りました。


パウラ・ベーアの魅力が本作でいっそう花開いた気がする~。ミステリアスで情熱的で、不思議で、強いのに、どこか儚い。
ラスト近く、彼女がクリストフの病院からヨハネスの家(立派な家だった!)へと向かうシーンでは、最初はジャケットを羽織り、鞄を背負っていたウンディーネが電車を降り、歩き始めると、鞄も上着もいつのまにか消えてしまう。
ブラウスとスカートだけでどこまでも歩き続ける彼女の姿は、まるで人間から水の精へと変わっていくような、そんな風に思えてしまいました。
愛した男に裏切られたらその男を殺し、自分も水に戻らなくてはいけない。“水の精ウンディーネ”の哀しい宿命・・・。
けれども本作ではそこに、ウンディーネの宿命に抗うかのような意志を感じたのは私の勝手な思い込みかな~。

フランツ・ロゴフスキもすごく良かった~♡
ベルリンという舞台(その歴史も今回とても興味深かった)、全編流れるピアノの音色も忘れられない。
そうそう!初めて知ったわ!ドイツでは人工呼吸の授業に「ステイン・アライブ」の曲を使うそうな!?監督のオリジナルではなかったのね~!(^^)!
- 映画タイトル(ま行)
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瞳さん、こんにちは!
おおー絶賛じゃありませんか!
実は私は、最初見てる最中、そこまでハマれたわけじゃないのだけれど、見終わった後に、人魚伝説に関連づけたお話だったとか、色々考察を読んで、おおー深いお話だったんだなあ・・・と、認識を改めたのです。
この監督さんの映画、ずっと追って行きたいですよね♪
- 2021/11/25(Thu) 13:42:29 |
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- latifa #SFo5/nok
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こんにちは。
”水の精・ウンディーネ/オンディーヌ”
とてもロマンティックなドラマは神秘的で素晴らしかったです。
水をうまく使ったシーンがナイスでした。
主演の二人は「未来を乗り換えた男」でも共演。
本作の二人は過去の作品以上に素敵でしたね。
個性あふれるフランツ・ロゴフスキ好きです。
パウラ・ベーアはそれほどでもなかったけど
今回で良い俳優だなと思いました。
美しい水のシーン思い出します。
- 2021/11/26(Fri) 14:02:51 |
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- margot2005 #mQop/nM.
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>latifaさん
こんにちは。コメント&TBありがとう。
監督の作品の持つ雰囲気が好きなのと、水の精伝説(人魚とか)も好きなので本作とっても好き~(*^-^*)
おお、考察とか読んだのね。いろんな要素とか入ってそう。
監督のインタビューを読んだんだけど、これまで水の精に関する物語は男性目線だったのでそれを払しょくしたかった・・・て書いてましたね~。
ペッツォルト監督作品、一緒に追いかけようね~笑
- 2021/11/26(Fri) 14:49:45 |
- URL |
- 瞳 #-
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>margotさん
こんにちは。
水の精がテーマの本作、フランツの職業が潜水夫というのも良かったですよね。
水のシーン、あの“ウンディーネ♡”の文字もなまずも、水槽のシーンも、怖かったけどプールのシーンもとても印象的でした。
フランツ・ロゴフスキ、私は「未来を乗り換えた男」と本作と2作だけなんですけど、どちらもとても良かったので、他の作品も観てみたいです♡
本作は脚本も監督のオリジナルということで、それも興味深かったです。
- 2021/11/26(Fri) 15:08:51 |
- URL |
- 瞳 #-
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こんにちは。
ペッツォルト監督の作品、未見なのですが、とても良さそうですね!
「水を抱く女」は、今公開中なのですか?配信?
今度、機会があったら何か見てみます。
ところで、ドイツではステインアライブで人工呼吸のレッスンをするの!?じゃあ、あのトラボルタの歩くリズムが最適のリズムっていう事なんですね。面白い!(*‘∀‘)
- 2021/11/28(Sun) 16:45:09 |
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- ごみつ #-
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>ごみつさん
こんにちは。
監督の作品、最初に観たのが『東ベルリンからきた女』なのですが(おススメです!)これがとても良かったので新作もいつも楽しみにしています。
本作は3月劇場公開だったのかな?わが県には来なかったので、レンタルを待っていましたよ~。配信もやってると思います。
>ドイツではステインアライブで人工呼吸のレッスンをするの
これね、映画の中でそういうシーンがあったので、てっきり監督のオリジナルかと思ったら、
なんと本当にドイツではステインアライブでレッスンするんですって(*^-^*)
トラボルタ、私も思い浮かべちゃいました、おもしろいですよね(笑)
- 2021/11/29(Mon) 14:36:01 |
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- 瞳 #-
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瞳さん☆
この題名にちょっと引かれて、前から見たいと思っていたのになんとなくスルーしてました・・・
こんなに絶賛でしたら、是非とも観なくてはね!
- 2021/11/30(Tue) 22:34:37 |
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- ノルウェーまだ~む #gVQMq6Z2
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>ノルウェーまだ~むさん
こんにちは。
原題はズバリ「ウンディーヌ」でした。この邦題、気になりますよね~♪
ちょっと不思議系かな?監督の作品想像させるタイプのものが多くて、はっきり解明されない系?です!(^^)!
余韻が残って大好きなのですよ~。まだ~むさんも良かったらぜひ~♡
- 2021/12/01(Wed) 17:10:50 |
- URL |
- 瞳 #-
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ベルリンや、旧東ドイツの雰囲気残る場所が大好きです。
- 2021/11/25(Thu) 13:37:37 |
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