
1386年、百年戦争さなかの中世フランス。
騎士カルージュの妻マルグリットは、夫の旧友ル・グリに乱暴されたと訴える。だが、目撃者もおらず、ル・グリはあくまで無実を主張したため、真実の行方は、カルージュとル・グリによる生死を懸けた「決闘裁判」に委ねられる。
勝者は正義と栄光を手に入れ、敗者は罪人として葬られる。夫カルージュが負ければ、マルグリットも偽証の罪で火あぶりの刑を受けることになるのだ・・・・・。
近くの劇場での上映が無いため、配信まで諦めようと思っていましたが・・・・どうしても気になる~~と遠出して観てきました。
その甲斐あったナ~~

スクリーンで鑑賞できて大満足の1本でした。
リドリー・スコット監督の中世ものに間違い無し!!
青く寒々とした戸外のシーン、蝋燭のほのぐらい屋敷の中、見事な映像美に見惚れ、職人芸ともいえるような世界観の構築に驚き、迫力を堪能しました。
決闘裁判に至るまでのいきさつを、3部に分けてジャン・ド・カルージュ、ジャック・ル・グリ、そしてカルージュの妻マルグリットの3人がそれぞれ真実を語る、いわゆるクロサワの「羅生門」的な展開で描いています。
3人それぞれの語る事実が、起こってしまったこと、結果は同じであっても、それぞれの側から描かれた、自分が本当であると信じる真実だというところがとても興味深い。
“カルージュは勇猛果敢な騎士で正義感に溢れ王のために命をかけて戦っている”
“カルージュは確かに強くて勇敢な騎士・・・だけれども我慢がきかず、血気溢れるその行動は時に負け戦を招くことがある”
ル・グリがカルージュに命を救われたある戦いのシーンひとつとっても、双方の描き出した真実は少し違う。助けられたことは確かな事実、だけれどもそもそもカルージュが飛び出していかなければル・グリが加勢しに出ていく必要は無かった・・・。
どちらも真実、どちらも決して嘘ではない。
共に戦い友だと思っていた2人が、やがて少しづついがみ合い、決闘へと向かってしまうまで。なるほど~、溝ってこういう風に深くなっていくんだ・・・っていうのがすごくよく分かりました。3人が語った真実の中に、いろ~んなものが見えたなぁ~~。
妻を汚され決闘を申し込んだ、正義の人カルージュは、実は自分の地位、名誉ばかりを重んじ、(決闘に及んだことで)妻の命を危険にさらしても仕方ないと思っている。
伯爵にとって有能な部下であり、文化人でもあるル・グリは、遊び人の自惚れ屋。自分が女性に拒否されるなんてこれっぽっちも思っていない。そして彼も自分の名前が汚れることを嫌い、決闘へと向かう。
いやーー、もう、正直どっちもどっちよ~(>_<)
伯爵にしたら、スマートに受け答えして一緒にいて楽しい騎士と、闘いはめちゃめちゃ頑張るけど苦虫かみつぶして盾突いてくる騎士とどっちが可愛いかって言われたらそりゃあなぁ~~とは思ってしまうケド。
鎧を着た中世の何百年も昔のお話なのに、今現代にも通じる普遍的なお話なんですよね!!そこがすごく面白かったです。
2人の男の真実のあとに語られたマルグリットの真実・・・ここに「真実」と改めてテロップがつけられていましたよ!!意味深~。
決して女性が声をあげることなど考えられなかった時代に告発する勇気、けれどもやがてそれは彼女の気持ちをないがしろにしただけではく、命すらおびやかす事態へと向かってしまう。
「(子どもと離れることになるのなら)命など賭けなかった!!」名誉や見栄など何になるのか!この現実的で強い彼女の主張がとても印象的でした。

現代に通じる・・・と言いながらも、この決闘シーンは全然別で、そりゃあもうーーー、凄まじいものでしたーーー!!
鎧の重さがずしっと伝わり、馬がぶつかり合う恐ろしいほどの迫力、槍、斧、剣、最後にはナイフ・・・、血の気が引きます~~~(>_<)
キャスト陣も素晴らしかった~、大満足。
マット・デイモン強さと愚鈍さ、ベン・アフレックの金髪~(笑)いやいや、遊び人伯爵すごく良かった

アダム・ドライバーってやっぱりイイ

どんな役してもい仕事するわ~。

マルグリット役のジョディ・カマー、凛として美しくて、愛らしく、賢い。難しい役を繊細に演じてとても魅力的でした。
初めて見た女優さんですがすっかりファンになりましたよ~。

「スターウォーズ」で最初観た時、マスクの下の顔にええ~~っ、と落胆した

アダム・ドライバー、今ではすっかり好きな俳優さんですが(笑)
本作では「美男ね~」と女性たちからモテモテ~。確かに上背あるし、ラテン語とか読んでセクシーなんですヨ

ふふ、でも(スコット監督の中世もの)ホンモノの美しい騎士ってこっちですワ


(『キングダム・オブ・ヘブン』はDC版が絶対オススメ

)
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| comment:10
きゃ〜瞳さんたら、さりげなく(でもないか?)、最後にオーリーの騎士姿でしめるなんて(爆笑)たしかにマット・ディモンよりアダム・ドライバーより、騎士姿が似合いすぎ(笑)
私、最後のマルグリットの時、はじめてテロップに「真実」って書いてあるのに気がつきましたけれど、毎回そう出てたんですね。確かに3人とも自らの「真実」を語ってましたもんね。
3回、同じこと繰り返すのに、微妙に違う。そこがなんとも面白かったです。でもこれはいつの時代でも、人間というものを表していますね。
日常でも私と夫の言い分はよく食い違います(笑)
ベン・アフレックの遊び人伯爵、最初、だれだか分かりませんでした。ベンとアダムの遊び人コンビ、これはこれでいい味だしてましたね(笑)
マルグリット役のジョディ・カマー、私も初めてみる女優さんでしたけど、すごくよかったですね。
- 2021/10/28(Thu) 23:15:40 |
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- tonton #-
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こんばんは。
劇場で鑑賞されたとの事、遠出で大変でしたが、その甲斐のある作品ですよね。
私もめっちゃくちゃ堪能しました。
お話のミステリアスな展開も良いし、何より史実を描きながらも、そこに現代まで続く性差別問題のテーマを持たせてあったのも素晴らしかったですね。
男どもは(笑)ホント、どっちもどっちよ~(>_<) ですよね。
私、「キングダム・オブ・ヘブン」見てないや。今度、見てみよう~っと。

- 2021/10/29(Fri) 02:47:16 |
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- ごみつ #-
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>tontonさん
こんにちは。
>最後にオーリーの騎士姿でしめるなんて(爆笑)たしかにマット・ディモンよりアダム・ドライバーより、騎士姿が似合いすぎ(笑)
おほほほほ~~(笑)ねじ込んでみました(爆)でしょ、でしょう~、鍛冶屋だけどバッチリ騎士です!(^^)!
>毎回そう出てたんですね。
1部はカルージュの真実、2部はグリの真実、そして3部がマルグリットの真実と出ていましたね。
でもマルグリットの時だけ、「真実」という2文字だけが再度出てきたのでこれってやっぱり、ここが真実とアピールしてるのか?と思いました。
>日常でも私と夫の言い分はよく食い違います(笑)
tontonさん、面白すぎ~(爆笑)
わかるぅーー、うちもよく食い違うわ(笑)
キャスト良かったですよね!!
そうそう、ベンとアダムのコンビ、面白かったわ。会社でも上司はこういう部下の方が可愛いよね、絶対(笑)
ジョディ・カマー、他の作品も観てみたいと思いましたよ。
- 2021/10/29(Fri) 13:22:07 |
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- 瞳 #-
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>ごみつさん
こんにちは。
うちの近くのシネコンは邦画推しなんですよ~、頑張って遠出してきました・・・といっても主人を巻き込んで運転してもらいました(笑)
>何より史実を描きながらも、そこに現代まで続く性差別問題のテーマを持たせてあったのも素晴らしかったですね。
そうでしたね。まさかこんな中世の時代の映画に現代に繋がるものが描かれていると想像していなかったので、驚きましたし!とても良かったですよね。
ね、ね~、男どもったら・・・!!
ラストのマルグリットの幸せそうな表情も印象的でした。
「キングダム・オブ・ヘブン」
当時劇場で公開されたものは、リンチ版「デューン」のようにかなりいろいろ編集してカットしてあって(涙)登場しなくなった人物までいます(>_<)
ぜひぜひDC版で観ることをお勧めします!!
- 2021/10/29(Fri) 13:35:21 |
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- 瞳 #-
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ホンマにリドリー·スコット監督が私の学生時代の歴史の先生やったらなあと、彼の史実アクションを見る度に思います。
よほど監督の好きなジャンルなんでしょうね。
面白いし巧妙でした。
- 2021/10/29(Fri) 14:12:33 |
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- ゾンビマン #-
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>ゾンビマンさん
こんにちは。
スコット監督の歴史の授業、熱く語ってくれそうですね(笑)
監督、83歳でしたっけ?すごいですよね!!
これからもまだまだたくさんの作品を作ってくれることを期待しちゃいます。
- 2021/10/29(Fri) 16:36:44 |
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- 瞳 #-
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瞳さん、こんばんは。
この作品、何度も予告を見て、見たい~と思っていたのですが
機を逸しています。
重厚な歴史ドラマでありながら、現代にも通じる
普遍的な人間模様が描かれていて、見応えがありそうです。
そして、ほんとうの真実が気になる!!
そして決闘の結末も。
私もアダム・ドライバー、大好きです。
正統派の美男子ではないし(失礼)
ちょっとクセのある濃いお顔立ちなのになぜかしら?
彼が演じている映画はどれも魅力的です。
- 2021/10/29(Fri) 23:53:36 |
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- セレンディピティ #.usTzc9U
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>セレンディピティさん
こんばんは。
この時期、観たい作品がいろいろ重なって嬉しい悲鳴ですよね!!セレンディピティさんも気になっていらっしゃるのね♡
そうなんですよ~。
スコット監督お得意の歴史ドラマですが、今の私たちにも繋がる普遍性があって見ごたえありました。
決闘の結末~~(>_<)
この決闘が、ものすごいんですよーーー。あまりの迫力に心拍数上がりました!!
アダム・ドライバー、いいですよねぇ。
そうそう、決して美男子じゃなくって、好きな顔でもないんですが(ゴメンね~)見入ってしまうわ~。
本作ではモテモテでしたよ(笑)
- 2021/10/30(Sat) 19:21:51 |
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- 瞳 #-
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瞳さん、こんにちは!
>いわゆるクロサワの「羅生門」的な展開で描いています。
そうなのねー、知らなかった!
昔にTVで見た事あったんだけど、もう覚えてなくて。
先駆者だったのかー。
そうそう、前にスターウォーズで見た時は、カイロ・レンの評価悪かったのに、その後色々見て行くうちに見る目が変わったよー。「パターソン」がきっかけかなあ。
それにしても、一杯映画に出てるよね、凄い活躍中だねー。
- 2022/02/02(Wed) 10:31:25 |
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- latifa #SFo5/nok
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>latifaさん
こんばんは。
「最後の決闘裁判」ご覧になったのね!!
3者三様の真実、なるほど~!!と思うところがいろいろあって見ごたえありましたね。
「羅生門」私再見して観たくなりましたよ。
そうそう!アダム・ドライバー、カイロ・レンの時はガックリきちゃったのに・・・観るたびにおおっ!って思わせてくれて・・・、私も「パターソン」で好感度上がったわ。
latifaさんも!?!(^^)!
すごいよね、次々に映画に出て引く手あまただよね~。
- 2022/02/02(Wed) 20:27:30 |
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- 瞳 #-
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