fc2ブログ

Slow Dream

縁あって・・・本や映画と巡りあう。




「わたしの叔父さん」 :: 2021/10/10(Sun)

私の叔父さん

2019年デンマーク作品。

デンマークのとある農村、両親、兄を亡くし、叔父と二人で暮らすクリス(クリスティーン)。
体の不自由な叔父を支え、家業である酪農の仕事を手伝い、ご飯を作る毎日、穏やかで淡々と日々は過ぎていく。

かって獣医を目指していたクリスは、牛の難産を機に再びその夢を思い出し、そんな彼女を村の獣医ヨハネスは後押ししようとする。
教会で出会った青年マイクからはデートに誘われたクリス。叔父さんと二人で暮らす日々に少しづつ変化は訪れ・・・。


目覚まし時計の音でベッドを出、叔父さんの部屋のカーテンを開けるクリス。二人の一日のルーティンを静かにゆっくりと見せることから始まった本作、冒頭から10分くらいかな~、台詞は一切無く。
昔観た『月曜日に乾杯』を思い出すナ~、あの作品もいつ喋るんだろう?って思ってました(笑)
全編通してクリスも叔父さんも台詞は本当に少ないし、音楽もほとんど無い、とにかく静かな、とても静かな作品でした。

私の叔父さん2

叔父さんにはパンを焼き、自分はグラノーラ。TVからはニュースが流れ、クリスは食卓でナンプレ的?な雑誌に抱え込む。喋らない二人・・・喜怒哀楽の表情も少なく、とっても無口なクリスに前半はちょっと冷たさすら感じてしまったのだけれど、
少しづつ二人の事情が(クリスの父の死や叔父さんと暮らすわけ)明らかにされ、ヨハネスやマイクからの誘いにクリスの表情も和らいで見えてくる。
変わらないような毎日に少しづつ忍び寄る変化・・・、
クリスの助け無しでゆっくりと服を着てみる叔父さん、足のマッサージを(クリスでは無く)ほかの人に頼んでみたり・・・、いつか来るだろうクリスの旅立ちに備えようとするような叔父さんの行動にクリスの心は穏やかでない。
もしかしたら、叔父さんとの父娘のような日々に終わりが来ること、変わっていくことを恐れているのは(叔父さんよりも)クリス自身ではないのかしら?
夢をかなえて欲しい、愛する人と幸せにもなって欲しい、きっと叔父さんが思っているだろう願いを、私たちもクリスに感じてしまうのだけれど・・・、ヨハネスとのコペンハーゲンでの勉強旅行の際に、クリスが恐れていたことが起こってしまう。

叔父さんを一人にしたこと、自分を責め、結局はまた、二人だけの日々に戻ってしまうクリス。
では・・・何も変わらない?前と同じ?・・・・・・そうではないんじゃないかと思う。
マイクからの手紙がある、内容は何もわからないけれど・・・、クリスと叔父さんのこの先もわからないけれど・・・・。

ラストシーン、あっ!もしやTVは壊れた?顔を上げて叔父さんをじっと見つめるクリス・・・、もっと二人を観ていたい、唐突にも思えた最後のシーンは無音のエンドロールへと繋がっていく。
口には出さないけれど、いつもお互いのことを見ている。二人の毎日を淡々と描いた実に静かな作品だけれど、観ている間中、いろんなことを想像し、思いを馳せたナ~~。

↑のポスター、作品の雰囲気そのままですごくイイ。そして「いつかはー」というこのコピーも。
いつか終わりが来るだろう、変わっていくだろう二人の毎日。そういう時を迎えるまでの一日、一日のある瞬間をとらえ続けた・・・そういう本作がとても好きです。

獣医を演じたヨハネスもそしてクリス自身も女優になる前は獣医さんだったとかそして叔父さんは、クリス役の彼女のリアルに叔父さん!!!(^^)!喋らなくてもなんとも自然な二人の空気は本物だったのね(笑)
仕事の終わりに二人で敷物?を畳むシーンでのふざけて叔父さんをちょっとコツンとしてみたり、
デートの誘いに心ここにあらず・・なクリスが朝食の叔父さんのパンを焦がしてしまったら、そっと(焦げパン部分を)内側に挟んで隠す叔父さんの表情、
デートに叔父さん同伴、3人並んだ映画館のシーン、
微笑ましかったり、くすっと笑ったり、切なかったり。クリスの長い髪の裾を1センチ叔父さんが切ってあげるシーンは美しい。
あっ!こう書くとただ単に平凡で変わらない日々じゃない、なんていろんなシーンがあったんだろう。

マフィンのような(あのパン焼き器も可愛い)パンに叔父さんが必ずつけるヌテラ!
晩ごはんのあとのボードゲームをしながらのお菓子、クリスはコペンハーゲンで回転ずしを食べてましたよーーー。食いしん坊なので、こういう食べ物のシーンが多かったのもヨカッタ
叔父さん、私もパンにヌテラ大好きです(笑)
  1. 映画タイトル(わ行)
  2. | trackback:2
  3. | comment:12
<<「明日は、明日の甘いもの」(『僕の姉ちゃん』) | top | 「ブラック・ウィドウ」>>


comment

瞳さん☆
こちらの作品も公開時の紹介でとっても気になっていた作品です。
一緒に居るのにムッツリと黙って静かにしているのは、いかにも北欧らしいですよね。うちの息子もほとんど黙っているので家の中はわが家も静かなのですが(笑)北欧の人たちってそういう人が多い気がします。
以前ノルウェーに駐在していた時に、短い夏にテラスで日向ぼっこしていたら、静かだったのに上の階の人の食事しているカトラリーの音が聞こえて、「ずっと居たんかいっ!?」と驚いたことがあります(笑
  1. 2021/10/11(Mon) 15:26:04 |
  2. URL |
  3. ノルウェーまだ~む #gVQMq6Z2
  4. [ 編集 ]

>ノルウェーまだ~むさん

こちらにもコメントありがとうございます。
まだ~むさんも気になっていらっしゃったんですね!!

>一緒に居るのにムッツリと黙って静かにしているのは、いかにも北欧らしいですよね。
おお~!!そうなんですね!!
うわーー、まさにノルウェーに駐在されていたまだ~むさんならではの体験ですね(笑)カトラリーの音だけ・・!!

叔父さんと姪だから?叔母さんと姪ならもっと喋るんだろうか?と思いつつ観ていたのですが、そっか~、北欧の人たちって物静かなんですね。

短い夏にテラスで日向ぼっこっていうのも、北欧らしい過ごし方で素敵ですね~(*^-^*)
  1. 2021/10/11(Mon) 16:50:23 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

こんばんは。
これ映画なのですが実際のおじと姪が出演しているので
二人の実生活を見ているような気がしました。
沈黙ばかりだけど心は通じている。そんな感じが良かった。
姪のデートに参加するおじさんが可笑しくもあり
切なくもありで、あのシーン素敵でした。
北欧の大自然は美しいですね。
  1. 2021/10/11(Mon) 22:48:16 |
  2. URL |
  3. margot2005 #mQop/nM.
  4. [ 編集 ]

>margot2005さん

おはようございます。
叔父さん、俳優さんじゃなく普通の方なんですもんね!姪との生活、そうでしたね、ごくごく自然で良かったですネ。

>沈黙ばかりだけど心は通じている。
同感です!!喋らなくても、黙っていても、お互い想いあってるのが感じられました。

叔父さんがデートに付いてきてるの、気づいた時のマイクのえっ・・・アレ~(>_<)的な表情、気の毒でしたが、ちょっぴり可笑しくて、でも叔父さんを置いていけないクリスの気持ちも切なくて。

見上げる空、飛び立つ鳥、この自然ならではの美しさも魅力でしたネ。
  1. 2021/10/12(Tue) 10:16:48 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

このポスターがすてきですね〜。
なんとも淡い色合いで、北欧って感じ。
プロの俳優じゃないところも、ハリウッド映画にはない味わいですね。
最近「狐狼の血」とか「007」とか刺激の強い映画が多く、おまけに先月録画した「鬼滅の刃」をまとめてみたら、「狐狼の血」も負けないくらいのバイオレンスぶり(汗)
なんかほっとするものを見たい気分です(笑)
  1. 2021/10/12(Tue) 14:47:31 |
  2. URL |
  3. tonton #-
  4. [ 編集 ]

>tontonさん

こんにちは。
いいですよねぇ、この色合い。作中、デートのシーンでこういう風景があるんですが、とっても素敵でした(*^-^*)

そうそう、実際の叔父さんという普通の人で、しかも主演女優さんは元獣医、牛を抱くシーンとかすごく自然でした。
表情も見逃してしまいそうなほど自然な感じなんですよ~、あとでフォトギャラリー見て、ああっ、こんなに笑ってたんだ・・・と思うくらい。

ふふっ、tontonさん、バイオレンスたっぷり!!(笑)
「鬼滅の刃」まとめて観たんですね!!すごーいい。私まだなんですよ~。
バイオレンスを観たあとは、ほっこりする映画どうぞ~(*^-^*)
  1. 2021/10/13(Wed) 14:52:12 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

こんにちは

こんにちは。
私は瞳さんとはちょっと感想が違って、
この場所に叔父さんのことで囚われてしまう(それまでの経緯からしたらそれで当たり前なのでしょうが)ヒロインが切なくて、素直に良かったという感想が持てませんでした。
ですので、デンマークの風景も、ちょっと荒涼としたものに感じられてしまったものです。
  1. 2021/10/29(Fri) 14:02:07 |
  2. URL |
  3. ここなつ #/qX1gsKM
  4. [ 編集 ]

>ここなつさん

こんにちは。
おお~!!ここなつさん、ご覧になっていたんですね!
あとで感想読みに伺います~。

>この場所に叔父さんのことで囚われてしまう(それまでの経緯からしたらそれで当たり前なのでしょうが)ヒロインが切なくて、
ここなつさんの気持ち、分かります~。獣医の夢に今一度挑戦しようとした矢先(>_<)
彼女の選択があまりにも潔くて(私なら中途半端なままで決めかねると思う)切なくなりますよね。

北欧の風景、印象的でしたね。
  1. 2021/10/29(Fri) 16:30:32 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

瞳さん、こんにちは!
うーむ・・・本作は結構感想が難しかったわ・・・。
面白くなかったわけじゃないのだけれど、色々解らない処があったり、考えさせられる題材、心理洞察など、、、、

ヌテラ美味しいですよね。その他食べるシーンが色々あって、そこは私も面白かった。

わざわざ病室で普段の食事を再現させるヒロイン、なんて叔父さん思いなんだろう、、と思いました。
  1. 2021/12/16(Thu) 09:50:32 |
  2. URL |
  3. latifa #SFo5/nok
  4. [ 編集 ]

>latifaさん

こんにちは。
コメント&TBありがとう。

とにかく静かで地味な作品だったよね。うんうん、ヒロインの気持ちとかもね、はっきりとは表してない作品だったから
すごく考えさせられちゃうよね。

ヌテラ大好き~(笑)叔父さんほどは塗ってないけど!(^^)!
毎朝トースト焼く器具もすごく可愛いかったよね~。

>わざわざ病室で普段の食事を再現させるヒロイン、
あまり感情を見せない彼女だけれど、叔父さんへの愛情はすごく感じられたなぁ。
離れることを叔父さんよりも怖れてる・・・そんな気がしますよね。

  1. 2021/12/16(Thu) 17:00:40 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

瞳さん、こんにちは~。コメント&TBありがとうございました!
静かでセリフも少ない作品ですから、人によって様々な感想がありますね。
観る人に委ねるというか、、、監督が主張してないと言うか。
個人的にはそういう作風の監督は好きなので、本作もとても好みでした。
ヌテラって私は食べたことはないのですが、味は想像できます(多分)。
ところで瞳さん、お仕事始められたのですね?
フルタイムではないとのことですが、お疲れが出ませんように!
  1. 2022/01/23(Sun) 16:34:23 |
  2. URL |
  3. 真紅 #V5.g6cOI
  4. [ 編集 ]

>真紅さん

おはようございます。
真紅さんの感想が読めて嬉しかったです。コメント&TBありがとうございます。

そうでしたね~、淡々と二人の毎日を描いて、最後も観る人に想像させる作品でしたね。
私もそういう風な映画がとても好きなので、本作大好きです♡
ヌテラ・・・チョコというかヘーゼルナッツ風味で美味しいんですよ~(*^-^*)
叔父さんのようにしょっちゅう買うことはありませんが、それでも切らさないようにしています(笑)

>フルタイムではないとのことですが、お疲れが出ませんように!
ありがとうございます。
無理しないよう、主人がお休みの日には家事を前より頼むようにしましたよ(笑)
映画の時間がとりにくくなったのですが、そこは癒しなのでねじ込むつもりです!(^^)!
  1. 2022/01/24(Mon) 08:57:28 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

comment


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://teapleasebook.blog26.fc2.com/tb.php/1298-d8099c5b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

「わたしの叔父さん」ネタバレ感想

考えさせられる映画でした。
  1. 2021/12/16(Thu) 09:47:19 |
  2. ポコアポコヤ 映画倉庫

『わたしの叔父さん』

デンマークの農村で叔父と酪農を営むクリスは獣医師になる夢を抱いていた なぜか気になってどうしても観たかった セリフも劇伴も最小限、これ以上ないと思えるほど静謐でミニマムな作品 でも、いやだからこそ忘れ難い余韻を残す 本当に観てよかった 親を亡くし、夢を諦めたクリス 側から見れば気の毒に映る境遇なのだろうけれど 彼女が受けた傷を思えば、叔父さんとの暮らしは安らぎ以外の何ものでもなかったのか...
  1. 2022/01/23(Sun) 16:23:52 |
  2. 真紅のthinkingdays