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Slow Dream

縁あって・・・本や映画と巡りあう。




「ぶあいそうな手紙」 :: 2021/07/30(Fri)

ぶあいそうな手紙

ブラジル南部のポルトアレグレに暮らす78歳のエルネスト。
隣国ウルグアイからブラジルにやって来て46年、妻は亡くなり、自身は視力をほとんど失ってしまったエルネストを心配し、息子はアパートを売り自分と暮らすように勧めるのだが・・・、頑固な彼は聞こうとしなかった。

ある日、彼のもとに一通の手紙が届く。差出人はウルグアイ時代の親友の妻だった。
手紙が読めないエルネストは、偶然知り合った若い娘ビアに手紙を読んでくれるように頼む。やがて・・・手紙の代読と代筆のため、ビアはエルネストの部屋に出入りするようになるのだが・・・・。


エルネストを演じるホルヘ・ボラーニさん、どこかで観たような気がする~~と思ったら、(かなり前に観た)ウルグアイの映画『ウィスキー』に出ていましたネ!!とびきり地味~~だけどすごくいろいろ想像させられた『ウィスキー』大好きな作品です。

息子の同居の誘いを断る、ちょっと頑固な老人エルネスト、視力の衰えから好きな読書も出来なくなり、隣人のハビエルとのたわいもないやり取りくらいで終わる毎日・・・。
そんな彼のもとに一通の手紙が届いたことから思いがけない出会いが広がっていく。
手紙や読書を巡って老人と若い女の子の交流が始まる、微笑ましいお話?と想像したら、もっと現実的で!意外性があって・・・でもすごーーく味わいのある作品でした。
お金に困っててエルネストの部屋からちょこちょこお金を盗ってしまうビア、そしてそのことに気づきながらも決して問い詰めたりしない、わざと部屋を留守にしてたりという小細工?までしちゃったりするエルネスト、
えっ、ダメじゃん、オイオイ~!のはずなのに、この二人の奇妙にも見えるやりとりが気になってくるから不思議~。

エルネストの部屋で出会う蔵書やレコード、そしてルシアへの手紙の代筆を通して知っていく美しい言葉に心動かされ、自分の生き方を見直し始めるビア、
けれど変わっていくのは彼女だけではなく、エルネストもまた、高級レストランでなくても安くて美味しい食べ物があることを知り、“スラム” と呼ばれる吟遊詩人の会に参加し(あのシーンのエルネストはとっても素敵だった!)、どこかちょっと柔らかな表情になっていく。

ビアが代筆する手紙のシーンも印象的!
これまでタイプライターを使い、形式に囚われ仰々しい言葉を使っていたエルネスト・・・・、邦題の『ぶあいそうな手紙』っていうのは、これまでの彼の手紙のことかな?
ビアに触発され、率直な言葉を綴るようになったルシアへの手紙がとっても魅力的でしたネ。
手紙のやりとりに若き日の二人の日々が想像させられて、ビアでなくともこの手紙の行方が気になりました。

隣人のハビエルとのやりとりも好きだったな~。
毎朝の新聞でのひとこま、性格も全然違ってて、言い争いながらも、互いに相手を心配してる。
チェス(見えなくても出来るんだ!)しながらの健康診断の数値をやりあうシーンが可笑しい!(^^)!

イヤイヤだと思うけれど、ビアが彼氏を(エルネストから泊めてもらってる)部屋に連れてきてたのはやっぱりアカン!と思うし、
思いやってくれる息子より赤の他人を心配するってどうなんーーー!?とも思うけれど(自分の部屋に見知らぬ女の子がいるのを見た息子の気持ちよ~~)ダメさや不器用さもあるからこそ、よけい二人が気になるし、
だからこその、あのラストがとっても嬉しかった♡
ビアに出会ってなかったら、きっとああいう一歩をエルネストは踏み出せてなかったんじゃないかな。


最後にビアに代筆してもらった手紙、エルネストの素直な心がこもった・・・いい手紙でした。

エルネストとビア

スカーフ

帽子やジャケットの下にさりげなく巻き巻き~(笑)エルネストのファッション、なかなか粋ではないですの!(*^-^*)
  1. 映画タイトル(は行)
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comment

瞳さん、こんにちはー
その後もオリンピック、すごいですよね。
連日メダルラッシュ。
我が家は、ちょっと一息ついた感じです。

で、この映画。
やっぱり良い映画だったなあーと、しみじみ感じてます。

ウィスキーのおじさま、瞳さんはしっかり覚えていたのねー。あれも良い映画でしたよね。

あまり普段見る機会のない南米映画。またこういうミニシアター系のきらっと光る作品に出合いたいです。
  1. 2021/08/01(Sun) 09:19:00 |
  2. URL |
  3. latifa #SFo5/nok
  4. [ 編集 ]

こんにちは

こんにちは!お暑うございます。
エルネストとビアの関係の中で、南米の国々の言語が違っていて、手紙を読める人が限られているというのもポイントでしたね。
向こうの人たちがアジアを一括りに見る傾向があるのと同様、私もそんなに…お手伝いさんが手紙を読めない程に…言語が違うという点を考えていなかったので、はっとしました。
だから、「故郷へ帰る」とかいう選択も、国土の位置や交通網などであまり簡単に選択できないのかなぁ、と思ったりもしました。
  1. 2021/08/02(Mon) 15:18:46 |
  2. URL |
  3. ここなつ #/qX1gsKM
  4. [ 編集 ]

>latifaさん

こんにちは。
オリンピック、やはりいろんなドラマがありますね~!!
今回の東京ではこれまでになかった種目も登場して、すごく新鮮ですよね。

latifaさんとこのコメントで、80代のお母さまの感想をお聞きして、なるほど~って。確かに変化もない毎日とは違う刺激を受ける日々って年取ったらすごく貴重よね!!

南米のお国事情というか、隣国事情というのか、そういうのもすごく生かされてましたね。
  1. 2021/08/02(Mon) 15:36:06 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

>ここなつさん

こんにちは。暑すぎですよね~~~(>_<)ここなつさんもどうぞ、体調気を付けてくださいね。
コメント&TBありがとうございます。

>南米の国々の言語が違っていて、手紙を読める人が限られているというのもポイントでしたね。
そうでしたね!!日本ではそういうの、考えられないですよね!!そういうのがしっかりと生かされてましたよね。
ビアもエルネストの手紙で、これいい言葉!覚えておこうって言ってて、そこも印象的でした。

年取ればなおさら、住み慣れた場所を離れるのって勇気がいりますよね。
ラスト、タクシーから降りてしばし、風景を眺めるシーンも心に残りました。
  1. 2021/08/02(Mon) 15:42:27 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

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ブラジルのポルトアレグレで一人暮らしをしている78歳のエルネストは、妻を亡くして何年にもなる。目があまりよく見えないものの、日常生活はつつがなく送っていた。散歩をし、音楽を聴き、隣人の同じく老人のハビエルと時々おしゃべりやチェスを楽しむ日々。家事はお手伝いの女性を雇っているが、ルーティンを守れば大抵の日常ごとは上手くいくものなのだ。ある日、散歩の途中で、同じアパートに暮らす女性の姪が、バイト...
  1. 2021/08/02(Mon) 15:19:27 |
  2. ここなつ映画レビュー