2008
12.26

「ヒトラーの贋札」

ヒトラーの贋札 [DVD]ヒトラーの贋札 [DVD]
(2008/07/11)
カール・マルコヴィクスアウグスト・ディール

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第二次世界大戦中のドイツ。
パスポートや紙幣の偽造に天才的な才能を持つサリーは、ドイツ軍に逮捕されユダヤ人収容所に送られてしまう。
死をも覚悟しなければいけない悲惨な状況下・・・しかし、ある日サリーをはじめ、収容所の一画に集められた技師たちに驚くべき任務が与えられる。

ドイツ国家による大量の紙幣偽造作戦。
ポンド紙幣やドル札の偽ものを大量にばらまき、イギリス、そしてアメリカ経済を混乱させることを目的としたこの作戦が成功すれば死んでゆく同胞や家族への裏切りとなる。
しかし、贋札が完成しなければサリーたちには即、死が待っているだけ・・・。


ナチスドイツによるユダヤ人収容所もの・といえば、浮かんでくるのはどうしようもないほど悲惨な光景・・。ガス室や大量に殺されてゆく人々を思い、辛い気持ちでいっぱいになってきます。

そして、もちろん、この映画の中にもそういうあまりにも悲惨な出来事や、絶対に許すことができない行為が描かれているのですが、そういう中で国家によるこれほど大掛かりな贋札偽造が行われていたこと。
これはまったく知らなかったことなのでビックリしました。

一般の収容所とは違う、格段に良い境遇を与えられ、贋札つくりに追われるユダヤ人たち。
上着を与えられ(それを着ていた人が誰なのかを思うと・・・)ベッドに眠ることができる代わりに信念を曲げ、自分たちの家族を殺しているものに協力しなければいけないというジレンマ。
けれども、完璧なものを作り上げなければ自分や仲間たちには明日が無い・・という。
そういう状況に置かれた人々の、それぞれの思いや、行動・・・・。

最後まで自分の信念をゆがめることをせず、贋札つくりを遅らそうとする印刷技師ブルガーの正義感(奥さんのことを思うとわかる気がするし)を立派だと思いつつもでも、どうにかして生き抜こうとするサリーの「今日の銃殺よりも明日のガス室を選ぶ・」というこの言葉・・・に思わずうなづいてしまう・・。


自分があの場に・・なんて想像するのも怖すぎるのだけれど・・自分だったらどうするだろうってやっぱり考えてしまいますよね。
今日か明日か、いづれは殺される運命ならば自分の信念のまま行動したい・・。
いや、いつかは死が待っているとしても・・一日でも長く生きていたい、ただひとつしかない命だから・・。
時計の振り子のように両方の気持ちに揺れてしまいそう。



作戦の指揮をとるドイツ軍のヘルツォークも、ただただ冷酷な部分だけではない、人間味を持って描かれていましたね。
共産党員だったという彼がナチスとなってしまったという、時代の波、家族のシーン。特別な人間だけがナチスであったわけではない・という事実が、よけいに重く考えさせられてしまいます。



自分の才能を信じ、駆け引きを試みるサリーと、こちらも一筋縄ではいかないヘルツォークと。
このあたりも緊張感あって、見ごたえありました。
サリー、ブルガー、そしてヘルツォーク・・他にも演じた俳優さんたちがみなさん、とても印象的。
個性的な顔立ちのサリー、包容力もある彼はとても魅力的でしたね。画家の若者とのシーンに思わず・・涙。

こういう話だと、ただただ暗く重くなってしまいそうなのに、彼らの魅力とスリリングなストーリー展開で、映画的な面白さもしっかりと見せてくれました。


ドイツの敗戦が決まって、収容所がユダヤ人たちに占拠されたシーン。
優遇されていたサリーたちを親衛隊と間違えた彼らに、自分たちも仲間だと知らせる証が・・腕につけられた番号・・とはなんという皮肉なことでしょうか。


犠牲となった人々の命の重み、そして生き延びたサリーたちのそれからの人生・・、いろんなことを思いながらエンディングを迎えました。

ブルガーさんが書かれているという原作、こちらも読んでみたいです。
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コメント
この(↑)瞳さんの言葉が心に沁みます。
彼らの境遇を観ていると、自分だったら・・、そんな想像さえ虚しい気がしてしまいますね。
サリーの逞しさとブルガーの一途さ、どちらも人間の「生きたい」という本能の現れですものね、辛すぎます。
以前、「灰の記憶」という やはりホロコーストを扱った作品を観ましたが 同胞の亡骸を処理する人々が それによって延命を与えられていた・・という もう言葉にならない悲惨なものでしたが ふっとその作品を思い出しました。
1年の最後に重い話になってしまいましたが・・(^^;)
今年も いろいろとお話させて頂いて楽しかったです。
劇場鑑賞も年に数本、もっぱらDVDで瞳さんの鑑賞作品を参考にさせて頂いて助かりました~♪
来年も ゆっくりゆっくりのカメさんモードですが どうぞよろしくお願い致します。
皆さんで 良い年をお迎え下さいね~o(^◇^)/
カポdot 2008.12.31 15:07 | 編集
>カポさん
新年あけましておめでとうございます。

サリーのたくましさとブルガーの一途さ・・
そうでしたね~、どちらの人間として持っているもの・・、辛すぎる境遇の中、いろいろ感じることがありましたね。
「灰の記憶」
>同胞の亡骸を処理する人々が それによって延命を与えられていた・・あぁ・・・それはまた・・なんて・・。ひどすぎますよね・・(涙)
私は、映画の中でも辛いことを避けてしまう弱虫なのですが、たまにはしっかりとそういう重さを受け止めて・・真摯に考えることも必要かなって思います。

いえいえ、私こそ、カポさんのチョイスされている作品、参考にさせていただいてますよ~!!
カポさんの感想読むと、俄然見たくなっちゃうんですよねぇ(笑)
今年もお互い、マイペースでいきましょうね。
どうぞ、よろしくお願いします~♪

dot 2009.01.01 21:13 | 編集
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