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Slow Dream

縁あって・・・本や映画と巡りあう。




「ノマドランド」 :: 2021/05/12(Wed)

ノマドランド

リーマンショックによる企業倒産の影響で工場は閉鎖、住み慣れたネバダ州のエンパイアの住処を失ったファーンは、病気で夫も亡くしてしまう。
思い出に押しつぶされそうになる中、彼女が選んだのは、自家用車に家財道具を積み込み、車上生活者、“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩くことだった。
行く先々で出会うノマドたちと交流を重ね、彼女の旅は続いていく・・・・・。



アメリカではこういったさまざまな理由から車上生活を営む高齢者たちが多くいるのでしょうか。
出演者には実際のノマドも起用(あまりにも自然でとてもとても演技とは思えなかった~)、想像よりもずっとドキュメンタリー風な映画でした。
自家用車を使いやすく改造し、季節ごとに募集される短期労働をこなすファーン。
旅行は好きだけれど、家に帰ってくるのはもっと好き(笑)という私には、ファーンのような暮らしはとても出来そうにないし、季節によってあちらへこちらへ・・・という労働も相当大変そう。腰痛&胃痛持ちには車上生活も向いてない(>_<)
小心者の私は、何か犯罪に巻き込まれるのではないか?とか、決まったお隣さんと接するのではない、ノマド同士の距離感をどんな風に保つのだろう?とかそういうことまで考えてしまいましたヨ・・・・。

冬の車中泊のあまりにも厳しい寒さ(ブルブル・・・)気候の良い季節だけこんな風に生活するだったらいいナ~などとご都合主義なことを思ってしまう。
ファーンは夫もハウスも(決してホームではない)仕事も失ってしまい、ノマドという選択をしますが、作中では、一緒に住もうと言ってくれる妹もいれば、かってノマド仲間だったデイブからの誘いもありました。
ですが、大自然の中で逞しく伸び伸びと見えた彼女が、招かれたホームの中ではあれほど居心地の良さそうな家なのに・・・・人々の中にいてどこかとても孤独に見えました。

時に挟まれるこういったドラマ的なシーンの見せ方や、シーン、シーンの繋ぎの自然さ、秀逸さ。
巡る季節、美しい大自然の映像は言葉よりも雄弁に語るものがあります。
ドキュメンタリーのようであり、詩的なフィクションのようであり。まさにこれがクロエ・ジャオ監督のさじ加減の上手さなのでしょうか。早く監督の他の作品も観てみたい~~(*^-^*)
思い出を引きずりすぎていることをわかっていながらもそれを捨て去ることなど出来ないファーン。ほんのちょっと、時折、ちょっぴり唇の端をあげた時の繊細な表情に思わず見入ってしまう。
ほとんどまるで素のままのようなフランシス・マクドーマントの演技が素晴らしかった~!!

季節が巡り・・・、ファーンはかって夫と暮らした家に再び訪れます。窓からはただただ一面砂漠が見えた・・・かってのハウス。
映画の最後のこのシーン、とても印象的でした。
社会派的なテーマを含んだ作品でもあるし、資本主義で儲けている親戚にお金を借りなければやっていけないという一種皮肉的な展開もあったけれど、
鑑賞後、不思議に穏やかな気持ちに満たされたのは、思い出の住処に別れを告げるファーンが浮かべていた表情のせいかな♡
今度はトランクルームの思い出の品はすべて処分し、バンを進めるファーン。
「ホームは心の中にある」


ノマドランド2

アメリカの原風景のような・・・・美しい自然。スクリーンで観れて良かったです(*^-^*)
  1. 映画タイトル(な行)
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comment

瞳さん、こんばんは。
ノマドランド、ファーンの生き方に共感できるかどうかはともかく
映画として素晴らしい作品でしたね。
いろいろと考えさせられる作品でもありました。
映像もすばらしかった!

クロエ・ジャオ監督、アカデミー賞の授賞式での
ナチュラルな佇まいがとてもすてきでした。
他の作品も見てみたいですね。
  1. 2021/05/12(Wed) 18:31:04 |
  2. URL |
  3. セレンディピティ #.usTzc9U
  4. [ 編集 ]

>セレンディピティさん

こんばんは。
淡々と静かに描かれる作品でしたが、ファーンをはじめノマドたちのそれぞれの生き方(デイヴも含め)に考えさせられました。
どれもみな、それぞれの選択、生き方ですネ。
大自然、魅せられました。明るい光も暮れる夕陽も・・・寒さはめちゃくちゃ厳しそうでしたが、まさに自然とともにあるというような暮らしでした。

ジャオ監督の作品、ぜひ他の作品も観てみたいです。
秋には(監督した)マーベルの新作映画が公開されるとか!驚きです。
  1. 2021/05/12(Wed) 21:10:45 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

おはようございます
>季節によってあちらへこちらへ・・・という労働も相当大変そう。腰痛&胃痛持ちには車上生活も向いてない

分かります〜(笑)私は若い頃、少々放浪癖があったので、これ観た直後は、羨ましい、私もノマドやりたい!などと、子供じみたことを思ってしまいましたが・・
よく考えたら大病したこと忘れてました(大汗)

>大自然の中で逞しく伸び伸びと見えた彼女が、招かれたホームの中ではあれほど居心地の良さそうな家なのに・・・・人々の中にいてどこかとても孤独に見えました。

確かに、確かに! ほんとにそうでしたね。一人のノマド生活以上に孤独を感じているマクドーマントの演技も素晴らしかったですね。自分の居場所はここではない、と思ってたんでしょうね。

シャオ監督、次はマーベル!?意外すぎる〜、でも楽しみです。

  1. 2021/05/13(Thu) 10:20:16 |
  2. URL |
  3. tonton #-
  4. [ 編集 ]

瞳さん、こんにちは!
風景や映像素晴らしかったですね。
内容も、今まで見たことのない題材だったので興味深く見せてもらったのだけれど、でも鑑賞しながら、絶対私には無理、って感じる部分が多かったなあ。

>早く監督の他の作品も観てみたい~~
私も。
ザ・ライダーって映画が凄く見たいんだけどなあ
  1. 2021/05/13(Thu) 11:11:03 |
  2. URL |
  3. latifa #SFo5/nok
  4. [ 編集 ]

こんにちは

こんにちは。
私は本作昨年の東京国際映画祭で鑑賞したのですが、その時にビデオレターで監督のコメントが流されて、すごくナチュラルで知的な感じでその佇まいだけでも一気にファンになってしまいました。
本作、問題提起はしつつもそれを肯定も否定もしない所がとても良かったと思います。
  1. 2021/05/13(Thu) 12:02:45 |
  2. URL |
  3. ここなつ #/qX1gsKM
  4. [ 編集 ]

>tontonさん

こんにちは。
tontonさんの感想、楽しく拝見しましたよ~!
気候のいい時ならちょっとこういう生活もやってみたい♪と私も思います。
>よく考えたら大病したこと忘れてました(大汗)
そうでしたね(>_<)でもそのことを忘れてしまうくらい今お元気だということ、私もとっても嬉しいです(*^-^*)

マクドーマンド、素晴らしかったですね。
「スリービルボード」の時とはまた全然違う、静の演技、沁みました。

ジャオ監督!そうなんですよーー、どんな作品なのか(撮影はもう終わっているそうです)楽しみですネ。
  1. 2021/05/13(Thu) 14:48:19 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

>latifaさん

こんにちは。
コメント&TBもありがとう(今回イケたね!(*^-^*))

映像、アメリカならではの壮大な風景、美しかったわ~。
この広大な自然も映画の大きなポイントだったよね。
年齢も私は近いものがあるのでこんな風に逞しく働いたり、車上生活を送ったり凄いなあ~と思いながら観てましたよ。

「ザ・ライダー」私も~!!
これ、すごく観たいと思ってます。
  1. 2021/05/13(Thu) 14:57:40 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

>ここなつさん

こんにちは。
コメント&TBありがとうございます。

東京国際映画祭でご覧になったのですね。
おお、監督のコメントが~♪
とても自然体で素敵な方ですよね。

>本作、問題提起はしつつもそれを肯定も否定もしない所がとても良かったと思います。

まさにまさに~!!
だからでしょうか、彼らが選んだ道を自然にみていられて・・・心が深く落ち着いたような、気持ちよさが残りました。
  1. 2021/05/13(Thu) 15:04:30 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

こんにちは。しばらくぶりに帰ってきました。

この映画ですごいのは、出演者の名前が、フランシス・マクドーマンドを除いて本名と一緒(ファーストネーム)ということですね。つまりまさに実録ということなのでしょう。排泄するシーンまであって、そういうのが苦手な私は「あひゃー」でしたが、彼女自身日本語Wikipediaにも紹介されているように、

>40代の頃、私は夫に『65歳になったら、名前をファーンに変えたいと思う。ラッキーストライクを吸ったり、ワイルドターキーを飲んだりしてRV車で気ままに暮らしたい』などと言っておりました。あの頃の私は車上生活に自由があると思っていましたし、車上生活者にロマンを感じていました。しかし、あの本は車上生活の実像を私に教えてくれたのです。車上生活は経済的な苦境と結びついたもので、私と同じ60代の人が車上生活を余儀なくされることも珍しくないのだと。

といっているくらいですからね。ここは私も原作を読んでみたいと思います。また、彼女は、デ・ニーロばりに

>また、マクドーマンドは役作りのために車上生活を送ると共に、Amazonの物流拠点での梱包作業など日雇いの仕事にも従事した

とあるくらいですから、根性の入り方が違いますね。制作費も500万ドルと格安だし、まさに渾身の映画ですね。

それにしてもやっぱりアメリカ映画でこちらにコメントさせていただくのなら、このような映画や『マンチェスター・バイ・ザ・シー』 のような映画にコメントしたいなと思います。これからもよろしくお願いします。

あ、すみません、シアーシャちゃんの写真の記事を発表しましたので、よろしければご覧になってください。

https://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/5266cb240d671024d16f5de30113583f
  1. 2021/05/18(Tue) 00:16:53 |
  2. URL |
  3. Bill McCreary #-
  4. [ 編集 ]

>Billさん

こんばんは。
お帰りなさい~(*^-^*)

実際のノマドの人々の中に溶け込んだマクドーマンドも見事でしたし、ノマドの人々の素の演技もとても自然で素晴らしかったです。
彼女は原作も読んでいるのですネ。高齢者にとっての車上生活は若い時のそれとはまた違うものがありますよね。健康的なものや経済的なもの、孤独・・・・。
図書館に原作があるようなので、私も予約して読んでみたいと思っています。

なんと~!!Amazonの仕事にまで!!
そこまで徹底してたんですね、恐れ入りますね。

こちらこそ、これからもよろしくお願いします。

シアーシャちゃんの記事!!おおーーー!!ぜひ見に行きます(*^-^*)
「アンモナイトの目覚め」こちらでは先週ようやく始まりました。明後日見に行く予定です。
シアーシャちゃんなので、Billさんはもうご覧になってるかな?!(^^)!


  1. 2021/05/18(Tue) 17:40:23 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

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