2008
12.16

「眠りをむさぼりすぎた男」

眠りをむさぼりすぎた男 世界探偵小説全集(10)眠りをむさぼりすぎた男 世界探偵小説全集(10)
(1995/06)
クレイグ ライス

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夕食後の冬の夜って・・・危険ですよねぇ。
暖かくした部屋の中でまったり、ゆったりしていると、いつのまにか夢の国へ。
眠りをむさぼることに・・(笑)

さて、この「眠りをむさぼりすぎた男」、ミステリー作家クレイグ・ライスがマイケル・ヴェニング名義で書いた作品のひとつ。
探偵メルヴィル・フェアが初登場した作品なのです。


クレイグ・ライスといえば、「大はずれ殺人事件」「大あたり殺人事件」が有名ですよね。
酔いどれ弁護士とジェイクとヘレンのコンビはとっても魅力的。

そして、大好きな「スイート・ホーム殺人事件」。
この愛すべき作品は、数あるミステリーの中でも特別な存在・・っていう気がします。何度読み返しても楽しくて暖かい。


多彩な才能を持ち、自身の人生でも数多くのエピソードを残したライスは、また数多くのペンネームを持つ作家。
ほかにもいろいろなシリーズものがあるとは聞いていましたが、メルヴィル・フェアシリーズとはこれが初の遭遇です。
さてさて・・どうだろう・・。
久々のライスにちょっとどきどきしながらページをめくりましたが、読み始めるとそんな心配はどこかへ。


レイブンスムーア屋敷での週末の朝。
屋敷の主人フランク・フォークナーの弟ジョージが何者かにベッドで刺殺されます。

招待をうけた客たちは、みんなある・・事情からジョージの部屋に忍び込むのですが、それぞれの事情から誰も死体を発見者になろうとはしない!!

かくして・・・ジョージ・フォークナーは、眠りをむさぼりつづけることになるのですが・・。


死体と遭遇しながらも、それを隠し通そうとする招待客たちのそれぞれの思惑や秘密・・・このあたりの展開が面白いですよ~!!
どうして誰も死体の発見者になりたくないのか。ジョージ・フォークナーとどんな関係があったのか・・。なぜこの屋敷に招待されたのか。
招待客が胸に秘めた秘密が、いろんな風に絡まりながらも明らかになってゆくのですが、それと同時に客たちの人物像も見えてくる・・。
ライスの描くキャラクターって、人好きがするっていうのか、魅力ある人たちが多いですよね、なんだかすっかり客たちの心情になってしまって、もうジョージにはこのまま眠りをむさぼっていて欲しいと思うくらい(苦笑)

いったいいつ、どんな風にして、誰が・・。ジョージの永遠の眠りを発表するのか。
殺人事件発覚までのプロセスが、こんなに面白いミステリーっていうのも珍しいのでは?

客たちの繰り広げる会話の面白さや、静かな緊張感漂う屋敷の雰囲気・・、これって、映画や舞台とかで見せたら面白いんじゃないかなあ。
ジョージ・フォークナの部屋にいろんな人が忍び込んでは出てゆくシーンとか・・、視覚的にも面白そう。

そうそう、ミステリーなんですから探偵のことを忘れちゃいけません~!!

しらがまじりの髪にグレーの瞳、灰色にちかい肌を持ち、ぴちっとしたグレーのスーツを着こむ。
小柄で目立たず、柔らかい口調のメルヴィル・フェア氏。
ポアロは灰色の脳細胞・・でしたが、ええ、こちらはもう全身灰色づくし(笑)飼っている猫も灰色というのですから。

まるで影のように目立たないフェア氏、ミステリーの中でもけっして表にたって光を浴びる存在ではないのですが、
アパートに一人暮らし、猫のミスター・トーマスだけが友達・・という寂しさにもかかわらず、人間が大好きで事件にかかわった人々が不幸になるのを見るのが何より辛い・・という、その優しさ。
なんだかじーんときてしまいます。
彼ならなんとかしてくれる・・そんな不思議な安堵感を与える探偵さんでした。


メルヴィル・フェアシリーズ、実はもうひとつ借りてきてるのですよね~!!

もうひとりのぼくの殺人もうひとりのぼくの殺人
(2000/03)
クレイグ ライス

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ささ・・こちらも楽しみです。
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