2008
12.13

「愛おしき隣人」

愛おしき隣人 [DVD]愛おしき隣人 [DVD]
(2008/11/28)
ジェシカ・ランバーグエリザベート・ヘランダー

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北欧の小さな街に住む、ひとびと。
世界で一番ツイていないと嘆く夫婦や誰からも愛された事がないと悲しむ男。
「誰も私を理解してくれない」と女は泣き、少女はロックスターとの結婚を夢見てる・・・。

どこにでもいるような普通の人々が訴えかけてくる嘆きや悲しみは、とっても切々としているようなのに、どこかちょっと不思議で可笑しい。

またひとり、オリジナルな世界を持った監督さんの作品に遭遇です。


スウェーデンのロイ・アンダーソン監督。
前作の『散歩する惑星』は、カンヌ国際映画祭等で数々の賞を受賞した作品だとか・・。
私はまったく知りませんでしたが、この『愛おしき隣人で』も他には無い独特の雰囲気や、不思議感が溢れていて。
世界にはまだまだオンリーワンの感覚を持つ、監督さんがいるんですねぇ。

舞台は北欧の小さな街ですが、ここに登場する人々は、世界中のどこにでもいるような・・特に目立ったこともない普通の人々。
そんな彼らが訴える・・ツイてない人生。
でもそれは決して、「あまりに悲惨なこと」ではないのです。誰もが目を覆うほどの悲劇的な事件でもない・・。

だけど、彼らにとっては嘆かずにはいられないこと。悲しまずにはいられないこと。
誰かに訴えずにはいられないこと・・。

「もう顔も見たくない・・」
「出て行って・・」
ダンナに延々と(ええ・・もうまだ言うかと思うくらい )文句を言い続ける女・・。
彼女を見つめ、時々なだめ・・でもちょっぴりあきれムードの男。
でも彼女、言いたいだけ言いながら・・「今晩の夕食は・・?」なんて聞いたりする・・その間の絶妙さとか・・。(苦笑)

ツイてないぶりを訴える彼らの表情は、とっても切々としているのに・・なんだか不思議な可笑しさも漂う。

少女が語るロックスターと結婚した夢は、印象的でしたね。
タキシード姿で窓辺でギターを奏でる新郎は、どこかやっぱり「遠い人」モード。
彼の音楽にどこからこんなに・・と思うくらいファンがどんどん集まって、二人を祝福してくれる・・。
そうすると、祝福の声に押されるように・・家のはずの建物が・・まるで新婚旅行に出かける汽車のように動いていって・・。


あぁ・・でも夢ってこんな感じだよね・・って。
ウエディングドレスの下の(普段着の)ブーツも(笑)とっても納得しちゃったりして。

でも、一番忘れられないのは、そんな街の人々が集って、飲んでるバーのシーン。
少女の夢物語をちょっぴり鼻をすすり聞いていた、バーテンダがやがて鐘を鳴らして。
「ラストオーダー。」
「また明日があるよ。」

そう、明日があるよね、ツイてなくても、誰かと喧嘩しても。
思うようにいかない人生でも。





ラストシーンもとっても不思議。
冒頭で転寝をしていた男が見ていた爆撃機のシーンが、そのまま、現実になったかのように。
街の人々が見つめる空には、大勢の爆撃機が浮かんでいる・・。

現実なのか、夢なのか・・。


これはいったい何をあらわしているのでしょう?
反戦メッセージ?

ツイてないけど、いろいろあるけど、とりあえず、「明日がある」はずの。平和な暮らしを脅かす存在・・なのでしょうか。
それとも、これは、世界中の人々が抱える悩みや悲しみをあらわしたもの?


最後までいろんな想像力が湧き上がる、不思議な魅力を持った作品ですね。
なにより、不思議なのは、ツイてない、さえない表情の人々がこんなに登場するのに、どこか暖かさを感じてしまうこと。
愚かだけどいとおしい。そんな監督のメッセージを感じました。
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