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Slow Dream

縁あって・・・本や映画と巡りあう。




「コリーニ事件」 :: 2020/12/11(Fri)

コリーニ事件


新米弁護士ライネンは、ある殺人事件の国選弁護人に任命される。
だが被害者は少年時代からの恩人だった。
動機について一切口を閉ざす被告人だったが、
事件を調べるうちにドイツ史上最大の司法スキャンダルへと発展――。
ドイツ国民誰もが知りたくなかった真実に向き合うことになる。

     <公式サイト ストーリーより>



2020年も残り少なくなってきました!(^^)!今年中にあと何本観れるかしら?
今年はコロナの影響で(例年以上に)劇場鑑賞が少ない年でしたが、ソレイユさんの上映を逃してしまい残念だった1本が本作。
今年中に観たい!と思ってレンタル開始を待っていました。

ドイツで刑事事件弁護士としても活躍し、自身で取り扱った事件をベースにした社会派ミステリーを執筆するフェルディナント・フォン・シーラッハの原作を映画化。
法廷ものと知ってはいましたがそれ以外の情報は入れていなかったので、とにかく“いったいなぜ、コリーニは大物実業家マイヤーを殺したのか?”“なぜ全く何も喋ろうとはしないのか?”ぐいぐい引き込まれました。
それと同時に、主人公である新米弁護士ライネンと被害者マイヤーとの関係、そもそも、彼は恩人を殺した犯人の弁護を引き受けるのか?
社会派ミステリーではありますが、同時にとても魅力的な人間ドラマであり、加えて抒情的な見せ方をする作品だったことに驚きを覚えました。
ズッシリ重い、まさに法社会を揺るがすような衝撃的な作品なんだけれど、その中の人間同士の関係や感情も感じさせる、そういう部分がすごく好きだーーーーー
マイヤーを父とも慕った少年期、おそらく初恋だっただろうヨハナとの関係、そして、幼少期に出て行った父親との確執・・・・、主軸となる“コリーニ事件”の弁護の展開とともに見えてくるドラマ部分が、見えてくるけど、見せすぎない
どこかちょっと文学的な匂いを漂わせこちらの想像を掻き立てるようなこの描き方、好みだわ

全く何も語らない被告人コリーニ、フランコ・ネロでしたね~~、懐かしい、渋いなーーー。
コリーニが初めてライネンに口を開いたのは、“父親”に関する言葉でした。
ライネンの努力でしだいになぜコリーニが事件を起こしたのか・・・が明らかになってくると、このシーンを思い出して再び胸が熱くなります(涙)
そしてこの、“父親”というキーワード、映画の中のドラマ部分にしっかりと比重を占めていたように思います。
誰からも尊敬を受け、自分に愛を注いでくれた恩人であり育ての親とも思えるマイヤー、
かたや、幼い自分を捨てて蒸発した父親との再会、
事件の進展とともに自分が知っていた部分ではない、2人の父親の持つ明暗を知ってゆく・・・・苦さと同時に救いも感じさせる、ニクイな~~。

事件についてはネタバレ知らずに観て欲しいので、ドラマ部分への感想が多くなってしまったけれど
謎部分とドラマ部分がどちらも魅力的に引き立てあっている作品でした。
いやーーー、しかし、司法に隠された不都合な真実、これはまさに衝撃!!日本人でもそうなのだから、自分の国の法がこんなことを決めていたと知ったら・・・・・
いや、でももしかしたら私たちの知らない法律の抜け穴?のようなものは(日本でも)あるのかもしれません。
なんと!この小説がきっかけとなりドイツ連邦法務省は「過去再検討委員会」を立ち上げたそうですからまさにドイツの法社会を揺るがした物語です。
原作もぜひ読んでみたいと思います。

抒情的と感じていたドラマ部分を凝縮したようなラストシーンは、社会派ミステリーとしては意外なものでしたが、
とても好きだーーー
ラストカットはイタリア、だからこそ、余計にこういうシーンが似合う。

今年プライムで鑑賞した『ザ・レポート』でも過去の過ちを調査し、発表し、そこから学べる国でありたいという志を感じました。本作もまた然り。
正義とは単に正しいだけじゃなく、過ちを正そうと出来ることだと心したい。

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comment

こんにちは

こんにちは!
ご覧になったのですね!そして、良い作品だったと感じていらっしゃる、とても嬉しいです。私も本作は傑作だと思っておりますので…
そう、そしてこの作品は「父親」がキーワードでしたね。同じように感じておりました。
色々な部分で「父親」に裏切られ続けてきた主人公が、それでも成長していく様は胸に迫りました。
  1. 2020/12/11(Fri) 15:34:45 |
  2. URL |
  3. ここなつ #2gmiGI6Y
  4. [ 編集 ]

>ここなつさん

こんにちは。
おお!挙げたてホヤホヤの記事に早速コメント&TBいただいて!ありがとうございます。
さきほど感想を読みに伺ったら、同じように感じてらして・・・とても嬉しく思いました。

そうでした!主人公の成長物語でもありましたね。
人の多面性を知り、苦さを噛みしめ、成長していく・・・いい弁護士になれそうですネ!(^^)!
  1. 2020/12/11(Fri) 15:53:29 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

瞳さん、こんにちは!
>どこかちょっと文学的な匂いを漂わせこちらの想像を掻き立てるようなこの描き方、好みだわ
私もです!
裁判シーンが中心の映画は、ちょっとお堅い、閉鎖的な印象があって、難しいのかなあ・・って印象もあったりするんだけど、これは凄く良かった!
バランスがとても良いし、内容も、見せ方も、最高だったわー。
ザ・レポート、にも興味が湧いてきちゃった。
  1. 2020/12/12(Sat) 10:00:54 |
  2. URL |
  3. latifa #SFo5/nok
  4. [ 編集 ]

瞳さん、こんばんは。
コリーニ事件、ご覧になられたのですね。
私は映画は見損ねてしまったのですが、原作は日本語版が出た時に読みました。
実は作者のシーラッハのデビューした時からのファンだったので...
瞳さんの感想を拝見して、映画の方も是非見たいという思いを強くしています。
近くのTSUTAYAは閉店してしまったので
アマゾンプライム頼みになりますが...。

シーラッハの小説は、どれも彼の出自が強く影響しているので
本作もおそらくそのことが深く関わっているのだろうとは想像できましたが
深いドラマに引き込まれました。
シーラッハ自身が弁護士ということもあり
法廷劇の緊張感が半端なかったです。
あー、早く見たいです☆
  1. 2020/12/12(Sat) 23:51:22 |
  2. URL |
  3. セレンディピティ #.usTzc9U
  4. [ 編集 ]

>latifaさん

こんにちは。
>裁判シーンが中心の映画は、ちょっとお堅い、閉鎖的な印象があって

そうですよね~、でも本作は違ってましたね。
ドラマ部分の見せ方がとても魅力的でしたよね。
latifaさん、原作読まれたかな?私さっき読み終わったんだけど、映画はより映像的にドラマチックに描かれてたんだなあって。

「ザ・レポート」はプライムオリジナル作品、
こちらはアメリカのCIAの暗部を調査するスタッフの頑張りに心打たれます。本作もそうですが、自国のこういった過去の過ちを晒し、正そうとする姿勢って凄いなあと思います。
  1. 2020/12/13(Sun) 12:34:44 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

>セレンディピティさん

こんにちは。
おお、シーラッハのデビューした時からのファンなんですね!!
私は今回この「コリーニ事件」で初めて著者を知りました。

本作の原作、さっき読み終わったばかりです。
決して誇張とかすることなく、現役の弁護士さんならではの静かな緊迫感を感じました。
映画では原作とは違う設定も多かったですし、よりドラマチックに描かれていましたよ。
ぜひ映画もご覧になってみてくださいネ。

私もシーラッハの短編、これからいろいろ読んでみたいと思っています。本作の原作に登場したパン屋さんは、以前の短編にも登場するとか、楽しみです。


  1. 2020/12/13(Sun) 12:46:22 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

今日は雨~

瞳さん、おはようございます。
これ見ましたよ。
色んな面から考えさせられる作品で面白かったですね。
最後のシーン、ほんとにちょっとドラマチック寄り?な感じだったけど、後で思い出すとじんわり来ます・・。

>もしかしたら私たちの知らない法律の抜け穴?のようなものは(日本でも)あるのかもしれません。
・・・・・
ですね。これは絶対あると勝手に思ってます;;
普通に生活してると特殊な(と言うのも変かもしれないけど)場所でどの様なルールや変更が、どんな背景を持つ人達によって成されてるかなんてなかなかわからないですもんね。
小説や映画って娯楽でもあるけど、時にこう言った問題を教えてくれて有難いです。
今更ながら、世の中の事をもっと知らなきゃと思う日々です;;(お気楽ホラーばかり見てるのは誰だ・・)
  1. 2023/06/30(Fri) 10:08:31 |
  2. URL |
  3. つるばら #OP2UcWyM
  4. [ 編集 ]

>つるばらさん

おはようございます。
雨!!そちら方面すごいみたいですが・・・・大丈夫でしょうか。どうぞ、お気をつけてくださいね。

「コリーニ事件」これは観た年のベストにも入れましたっけ。
ドラマ部分の作り方がとても好きでした。
そうですよね、すごくいろいろ考えさせられますよね。

>普通に生活してると特殊な(と言うのも変かもしれないけど)場所でどの様なルールや変更が、どんな背景を持つ人達によって成されてるかなんてなかなかわからないですもんね。

まさにそうなんですよ!!知りえない部分って、きっとたくさんあるんだろうなあと思います。
映画や本ってそういう部分を教えてくれますよね。
本作はあとで原作も読んでみたのですが、映画よりもシンプルでしたが、ぎゅっと凝縮したような濃い内容でした。映画はそれにドラマ性をプラスしてどちらも良かったナ~。

お気楽ホラー!!これも大事ですよね~~(*^-^*)
暑くなってきたので怖いのが観たいーーー!!(笑)
  1. 2023/07/01(Sat) 06:52:40 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

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