2008
12.07

「譜めくりの女」

譜めくりの女 デラックス版 [DVD]譜めくりの女 デラックス版 [DVD]
(2008/10/24)
カトリーヌ・フロデボラ・フランソワ

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ピアニストになることを夢見て、音楽学校の入試に臨む少女メラニー。
だが、憧れの人気ピアニストでもある審査員マリアーヌのとったある行動がメラニーを動揺させ、彼女は実技試験に失敗していまう。
静かに涙する少女は、ピアノに鍵をかけ夢を封印した。

やがて美しく成長したメラニーは、弁護士の道を選びある事務所に実習生として勤めるが、事務所の所長ジャンの妻は、彼女が忘れることの無い、マリアーヌだった・・。


はぁ・・・なんていうか、怖いですよねぇ・・。

いわゆる復讐ものなんですが、ただ単にその復讐ぶりが怖い・・というだけじゃない、いろんな意味の怖さがこの作品からは感じられました。

少女の夢を壊してしまったとされるマリアーヌの行動・・。確かに無神経といえばそうなんだけど、あそこまでされることのことか・というと、「う~ん」と思ってしまう。
もちろん、マリアーヌ自身も自分がとった行動が、復讐の動機になるとは露とも思っていないわけだし、メラニーのことを覚えてもいない・・。
しかし、傷ついた少女の心はその後もずーーとずーーっとそのことを忘れないんですよね。試験のあと、少女の頬に流れる涙と・・あのあと別の少女に取った行動が怖かった~~。
マリアーヌにまったく罪の意識が無いだけに、復讐を受けるのにどこか不公平さ?っていうのか、気づかずに加害者になってしまう・・その怖さを感じたし、メラニーの復讐も、けっしてあからさまじゃない・・見ている私たちにもこれは復讐なのか、どうなのか・・って思わせる、そういう見せ方も怖かった。

マリアーヌの弾くピアノの音にメラニーの浮かべる表情とか、マリアーヌに向ける視線とかが、まだメラニーの中に憧れの気持ちがあるんじゃないだろうかと思わせるものだったし、
マリアーヌの息子トリスタンとはしゃぐ様子なんてとても無邪気だし、両親への電話もいたって普通というか。
どうなんだろう・・・彼女の真意は?
色が白くて静かで・・決して表情を崩さないメラニーの表情にその思いをうかがい知ろうとするんだけど読み取れない・・その怖さ。

マリアーヌがメラニーの不思議な魅力に惹かれてゆく様子も、その見せ方が上手くって。

交通事故でうけた精神的なショックから立ち直りきれていないマリアーヌが、あがり症を克服できずに演奏会の前に座り込んでしまう・・。そんな彼女に静かに手を差し伸べるメラニー。
庭園での鬼ごっこのシーンでは、鬼になったトリスタンから隠れようとする二人が同じ茂みに隠れるんだけど・・そのときのなんとも微妙な「間」というか、流れる空気が・・。

先日観た「地上5センチの恋心」のあのオデット役がキュートだったカトリーヌ・フロが、この作品ではまったく違う表情を見せてくれましたね。
精神的な不安定さ。メラニーへの気持ちに戸惑う・・・様子。復讐されていると気づかないまま、どんどんと追い詰められてゆく様子が・・怖いんですね。


しかし、メラニー。あんなに可愛いトリスタン君にも気持ちが緩むことがなかったんだろうか・・。
プールでのシーンも、何が起こるんだろう・・と思わせる怖さだったし、彼のピアノに対するやり方もすぐに結果が出るものやないだけによけいどうなるんだろうって思って。

あ、でももしかしたら(自分が夢破れた年と同じくらいの)彼が、すでにピアニストへの道を歩んでいるのを見るのはよけい彼女の傷を思い出させるものだったのかも・・。


監督さんは自身もヴィオラ奏者さんだとか・・。
音楽のこともそうですが、日本文化の「間」というものに興味を持ってこの映画でもそれを生かしたかった・・というお話を読んでなるほど~!!って思いました。
メラニーの取ったある行動からマリアーヌの気持ちを知りショックを受けるジャン。その彼を見て背を向けるマリアーヌ・・、こういうシーンの「間」も独特でしたよね。


あぁ、しかし、やっぱり復讐ものは後味が悪いよ~~。じわじわ・・後をひきます。
何十年も暗い思いや憎しみを引きずって生きるのは、自分の人生をも傷つけるものじゃない?たとえ復讐が終わっても何が残るんだろう・・そんなことを思ってみるけど。
でもメラニー、彼女はこれからもあの崩すことの無い表情で世間を上手く?渡っていくような気がして・・それが一番怖いんですけど・・(汗)


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