
パリに暮らす24歳の青年ダヴィッドの仕事は、アパートの管理人兼植木の剪定作業。
(姉の娘)アマンダのお迎えに遅れてしまい、姉に責められたりもするけれど、ダヴィッドと姉サンドりーヌはとても仲良しの姉弟。
ボルドーから上京してきたレナという女の子と親しくなり、毎日忙しくはしているけれど穏やかで幸せな日々を過ごしていた。
ところがある日・・・・思いがけない悲劇に襲われてしまう。
残されたアマンダの面倒をダヴィッドが見ることになるのだが・・・・・。
↓※ネタバレを含んだ内容になっています。未見の方はご注意くださいね。
2018年制作のフランス映画、WOWOWで鑑賞しました。
全く予備知識もなく、ノーチェックの作品でしたが・・・・とても、とても良かった♡
裕福ではないけれど、穏やかで幸せな日々を送っていた人々が、突然の凶行により愛する人を失ってしまう。
無差別テロの恐ろしさ(実際に起きたパリでの事件を思い出してしまいます・・・)

けれども本作は、事件をセンセーショナルに描くのでも、犯人を追及したり、ましてや復讐しようとしたり・・・というものではありませんでした。
ただ一生懸命生きている、普通の人々が、ある日突然抱えることになってしまった喪失の痛みにどんな風に向き合うのか・・・、
誇張することもなく、丁寧に丁寧に見つめる様子がただもう、心に沁みるのです。
公園に倒れた人々の姿をただただ呆然と見つめるダヴィッド・・・・、姉を亡くしたことを自分でもまだ受け止められない彼にどうして、姪の(まだ7歳の!)アマンダにそれを説明することが出来る?


ほとんど父子家庭で育った姉と弟。二人でパリの町を自転車で走るシーンの楽しそうだったこと(涙)
頼りなさげに見えることもあるけれどとても、心優しい青年の、そうした悲しみ、戸惑い。
雑踏の中で一人気持ちこみ上げ涙してしまう姿に観ているこちらも思わずもらい泣き(涙)。
アマンダが、真夜中寝ながら突然泣き出してしまったり、ある日は叔母のところに居たいと言い出したり、また次の日にはダヴィッドと居たいと訴えてくる姿も、
昨日までとなぜこんなに違う生活を送らなければならないのか・・・、我慢強くてもまだ幼い彼女の中の混乱も強く伝わってきました。
それでもアマンダは学校、ダヴィッドには仕事があります。
ある朝寝坊してしまい、二人して学校まで走り続けます。アマンダの手には(途中で買った)チョコクロワッサン

サンドリーヌの知り合いに街で出会ったダヴィッドが、彼女の死を伝えることが出来ず「またね」と別れておきながら・・・・、次の瞬間振り返り再び知り合いを呼び止めるシーンも印象的でした。
2人の姿はロングショットです。言葉は聞こえません。でも分かるんですよね、伝わるんですよね(涙)
傍らにいた人を失っても朝がきて、また夜もめぐる。日々がまた続いていく様子を丁寧に綴りながら、悲しみの中からまた少しづつ何かを見つけていく・・・。
登場人物たちと一緒に涙したり、笑ったり、楽しくなったり。
何の衒いもなく、心を預けて素直になれる映画でした。
ラストシーンのウィンブルドンテニス観戦シーンも好きだなーーー。
かって母が教えてくれたプレスリーの格言を持ち出して、顔を曇らせ涙を浮かべたアマンダが、最後には明るい笑顔を取り戻す・・・、
「大丈夫だよ、希望はあるよ」そう一生懸命言い続けるダヴィッドの温かさ。
2人が一緒にいればきっと大丈夫!!そう思える優しさに溢れるラストシーンでした。

被害にあってしまった(ダヴィッドの恋人)レナをはじめ、サンドリーヌや叔母、幼い時に出て行った母(グレタ・スカッキでした!!)、女性たちもみんな素敵でしたネ♡

何より!!この自然そのものの笑顔~(*^-^*)
監督が見出した、普通の女の子イゾールちゃん♪100%天然の可愛さ。
まるで普段着のような、飾り気のない夏のパリの風景もこの映画にぴったりだったなーー。
最後に、人々が大勢楽しそうに集う公園の風景が流れました。どうか、この平和な日常が失われることがありませんように~~。
- WOWOW鑑賞作品
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| comment:6
こんにちは。ご訪問が遅くなってすみません。
本作、とても良い作品でした。じわじわと心の中に涙があふれてくるような。
日常のなんとはないことがとても大切なことなのだと改めて気づかされる作品だったと思います。
そう!女性陣みんな良かったですね~。そして特にアマンダの愛おしかったこと!
- 2020/09/23(Wed) 11:34:11 |
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- ここなつ #2gmiGI6Y
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>ここなつさん
こんばんは。
いえいえ、とんでもない~!(^^)!コメント&TBいつもありがとうございます。
>じわじわ心の中に涙が・・・・
まさにそうでしたね。思い出してもじわじわ~~きてしまいます(涙)
悲しみに襲われたからと言ってそこから何か劇的なことが起こるわけではなく、日常は続いていく・・・そうした姿を丁寧に描きながら、普通に暮らしていくことの幸せを感じさせてくれましたね。
シュ―クリームとチョコレートクロワッサンの好きなアマンダ(笑)可愛かったですネ。
- 2020/09/23(Wed) 19:41:21 |
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- 瞳 #-
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こちらにも。
こちらの映画は、とってーーも良かった。
全然期待してなかったんだけど、自然だし、変に大げさじゃなくて、でもじっくり静かに気持ちに寄り添ってくれる映画で好感持ったなあー。
パリとかロンドンで自転車乗りたいーー
- 2021/09/21(Tue) 15:59:39 |
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- latifa #SFo5/nok
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>latifaさん
こちらもご覧になったのね!コメント&TBありがとう。
これねーー、すごく良かった♡
この年のベストに入れたわ。地味な作品なんだけど、この作品のこと思い出すたびに・・・じんわり涙しちゃうんだけどそのあと、爽やかな感動も思い出して。
すごく好きな映画です。latifaさんも好感もってくれて嬉しいな。
自転車のシーンも良かったよね。気持ちよさそうだったわ。
- 2021/09/22(Wed) 09:10:19 |
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- 瞳 #-
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瞳さん、こちらにも昨日TB送ったの。2回トライしたんだけど、だめで、
今日またトライしたけど、やっぱりダメだったの。
なんでだろうね? もう一つの方は飛ばせるのに。
まあ、そういう事もたまにありますよね!
とりあえず、お知らせまでー♪
- 2021/09/22(Wed) 17:12:34 |
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- latifa #SFo5/nok
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>latifaさん
そうだったのね(>_<)
なぜかしら?TBっていまだに謎だわ。
2日にかけて、3回も!トライしてくれてありがとう♡
FC2さん、なぜーー!?教えて~!(^^)!
- 2021/09/22(Wed) 20:08:36 |
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- 瞳 #-
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本作は、昨年の第31回東京国際映画祭で、コンペティション出品作品の中で東京グランプリを獲得した作品である。私は東京国際映画祭は大変好きなイベントであり、近年は毎年欠かさず行って、主にコンペティション作品を鑑賞するのが慣わしなのであるが、例年東京グランプリの授賞作品には疑問を持っている。平たく言えば「何故この作品がグランプリ…?」という作品が多いと思うからだ。グランプリ授賞作品はコンペティショ...
- 2020/09/23(Wed) 11:34:49 |
- ここなつ映画レビュー