2008
12.05

「落下の王国」

落下の王国

オレンジの木から落ちて腕を折り病院に入院している5歳の少女アレクサンドリアは、人懐っこくて好奇心旺盛。
今日も病院内をうろうろと歩き回っていたが、ふとしたことからひとりの青年ロイと知り合う。
撮影中に橋から落ち大怪我をしたというスタントマンの彼は、少女を呼び寄せ(少女の名から)アレキサンダー大王の物語を語ってくれた。
青年の語るお話に引き込まれるアレクサンドリア。

「明日また別のお話をしてあげるよ、愛と復讐の叙事詩だ・・・」

翌日またロイの病室を訪ねるアレクサンドリア。
壮大で不思議な物語は、こうして始まった・・。

先日観た「ザ・セル」の映像美はとても驚きでしたから、ターセム監督の新作と聞きこれはなんとしてもスクリーンで見たいと出かけてきました。

撮影期間に4年をかけ、世界24カ国で撮影されたという、その映像はまさに期待通り!!
絵葉書やTVで見た、各地の世界遺産もおしげなく登場するその贅沢さ。
鮮やかな色彩に驚くほど大胆な構図、ロイの語る不思議なストーリーとあいまって少女アレキサンドリアとともに、あっという間に物語の世界に魅了されてしまいました。
「いつもいいところでやめるんだから・・」そうふくれる少女の気持ちは、(映画を観ている)私たちの気持ちですよね(笑)
横暴で残酷な総督に復讐を誓う6人の戦士たちはいったいどうなるのか、続きが知りたい、結末は?・・と。


歩けない自分の代わりに「あるもの」を手に入れてもらおうと、少女の気を引くために物語を語り始めたロイ。
(物語に登場する)復讐に燃える仮面の男は彼自身、怪我を負った上に恋人を花形男優に奪われた彼の心の痛みの深さが、物語をどんどんと辛い結末へと導いてゆくかのようです。
そこに飛び込んでくるのが、少女の想い。仮面の男たちを助けようと物語りに飛び入り。
いつしかロイの物語はアレクサンドリアの物語にもなり、二人して物語をつむいでゆくのです。


ふたりのつむいでゆく物語の世界がどうなってゆくのか、それは、現実世界のロイの心の痛みと少女の想いにつながっていきます。
ロイを思い、アレクサンドリアが夜の病院の薬室に忍び込んでゆくシーンには、これは現実に起こっていることなのか、それとも物語の中のこと?・・と。
呪文を唱え恐怖に立ち向かう少女に、こちらまで思わず「グーグリ。グーグリ、あっち行け~!」と一緒に唱えそうになりました。


原題は The Fall。  
「落ちた」ことから始まったロイとアレクサンドリアの出会い。
人生においてもどんどんと落ちてゆくロイの気持ちや、彼を助けようとしながらも、再び「落ちる」ことを体験してしまうアレクサンドリア。
ラストの懐かしいサイレントムービーのシーンの数々も・・。
この作品にはたくさんの「落ちる」シーンがありましたよね~。
シンプルなThe Fallも面白いのですが、邦題の「落下の王国」、これ素敵だなあ。物語の題名にもふさわしい!魅力的なタイトルです♪

ロイの物語は結末を迎えてどんどんと辛いシーンが続いてゆきます。
それを聞きながら涙するアレクサンドリアの悲しい表情・・・、「ぼくの物語は悲しいんだ・・」というロイに「二人の物語だよ・・」と訴える少女の言葉・・。
たかが物語のラスト・・・じゃない、ロイにとって、二人にとって、この物語がどれほど大切なものなのか、これからのロイにとって、二人にとって・。
それがこちらにもしっかりと伝わってくるから、この「物語」のラストからはどんなに胸が痛くなっても目が離せません。



映像の見事さと、物語の持つ力についてここまで魅せてくれた作品。でももっと、見事だったのは、キャスト選びではないかしら。
登場したときには正直可愛いとは思えなかったアレクサンドリア、でもその表情の純真さ、素のままの自然なしぐさ・・にすっかりやられてしまいましたよ~♪
氷をなめるシーンや、ロイに向けるいろんな表情、あの鼻をゴシゴシ掻いちゃうしぐさなんて・・(笑)、いつのまにか少女から目が離せない~!!彼女なくしてこの作品はありえないですね。


石岡瑛子さんの衣装には、今回も目を奪われました!!
仮面の男のスレンダーなラインの衣装も好きですが、なんといってもあのダーウィンの「蝶の上着」!!これだよね(笑)忘れられませんよーー。


こだわって、こだわり続けて作られた作品。監督の情熱と愛情を感じました。そして、優しさも。
スクリーンで見てよかった~!!(象が泳ぐのも見れたし 笑)
大満足の1本でした。
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