18世紀のヨーロッパを舞台に富と名声を求めたひとりのアイルランド人青年レドモンド・バリーの波乱の人生を描いた物語。
2部構成、3時間という壮大な物語なのですが、人物がしっかりと編みこまれ緩みのないストーリーに最後まで惹きこまれ、しかも、この映像美の素晴らしさときたら!!
アカデミー賞をはじめ、たくさんの美術賞・映像賞を受賞しているのも納得です。
こんな作品を見逃していたとは!!ポルカさん、お薦めありがとう♪
この作品、まずはやはり、その映像の美しさに驚かずにはいられません。
ひとつ、ひとつのシーンが驚きの連続です。
いったい何年の作品?なぜ、こんな美しい映像が撮れるの?と思ってしまうほど。NASAで開発した日本製の高性能レンズを使用しているというのは有名な話なんですね。
お城のまわりの風景、湖や川や、緑の木々・・。
太陽の光、風のそよぎまでも感じるかのような戸外の風景の美しさに見とれ、城内のシーンでは蝋燭の灯りの下、まるで絵画の1シーンのような場面が広がります。
ドレスの襞の影までもが美しい・・人々の着こなす衣装に目を奪われるのです。
でも、美しい映像ばかりが見所ではもちろんありません。
物語の展開も見事でした。
物語はごくゆっくりと描かれているかのように見えるのに、なぜでしょう、飽きることも、緩むこともなく、3時間がまったく長く感じられませんでした。
ナレーションも効果的に使われ、バリーの物語が次にどのように展開していくのか・・気になるのですよね。
バリーの人生における3度の決闘シーン(最初の決闘は、彼自身のものではなくて父親のものでしたが)もとても印象的でした。
恋敵との決闘では故郷を追われ、そして、バリーを憎む義理の息子との決闘では、大きな傷を負う
とともに掴んだ座を手放すことになる・・。
どちらの決闘シーンも、絵に描いたようにカッコいいものではないところが・・またとても現実的でした。あれでは・・決闘を申し込んでも申しこまれても・・、死を覚悟せねば・・・!
人を惹きつける魅力と行動力で人生を渡り歩いてきたバリー。
しかし、若き日に恋をし、情熱的だった青年の心を冷やしてしまったのは、やはり戦争というものの影響なのでしょうか・・。
保身にまわり、貴族の称号に固執する姿・・第2部での妻に対する冷たい仕打ちには悲しくなる思いがしましたが、つかんだ地位から転落したくないばかりに立ち回る・・その姿は、何もないところから出発して上り詰めた者には仕方のないものだったのかもしれません。
バリーとはまったく逆なのが、妻のレディ・リンドンでした。
最初から持って生まれた地位と財産。
貴族として生まれ、貴族としてしか生きれない彼女の、一種あきらめたかのような、憂いに満ちた瞳も忘れられないですね。
マリサ・ベレンソン美しかった~!!
バリーを演じたライアン・オニールは・・やはりなんと言っても「ある愛の詩」ですよね。でも、彼がこんなに時代ものが似合うとは意外でしたよ!!
ヘンデルなどクラシックを印象的に使った音楽も素晴らしいです。
そして、「白塗りとつけぼくろ」(笑)
この時代に流行したという・・このおしゃれまでもが・・映画にはちゃんと取り入れられていましたよ。
ちなみになぜか息子が持っている「世界服飾史」によると
タフタ(張りのある絹の平織物)や薄くなめした皮革を星や月、十字架、馬車などさまざまな形にカットして顔や胸などに貼り付けるおしゃれで、
疱瘡のあとを隠し、肌の白さを際立たせ愛嬌や色っぽい風情を与えてくれるとして17世紀にはほとんど必需品として大量に用いられたということですよ。
つける場所によって、たとえば目尻だと「情熱家」頬の真ん中は「男好き」唇は「コケット」などと呼ばれたとか(笑)
いや、これを読んで思わずもう一度映画を見返しちゃいました(笑)
時代考証、衣装、髪型、音楽も、キューブリック監督にはやはり一切手抜きはありませんね。満足の1本です。DVDが欲しいわ~。
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>ポチさん
ご覧になってたんですね!!
ライアン・オニール、軍服も似合うし、やっぱりハンサムなんだなあ・・と改めて思いました(笑)
映像の美しさ、素晴らしいですよね。
蝋燭の光の下・・・そうなんですってね、有名なんですね。
監督の手抜きのないこだわりぶりに満足の作品でした。
ぜひまた再見してくださいね~。
白塗り、つけホクロ、チェックです(笑)
- 2008/11/30(Sun) 20:24:20 |
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