fc2ブログ

Slow Dream

縁あって・・・本や映画と巡りあう。




「家へ帰ろう」 :: 2019/10/17(Thu)

家へ帰ろう

第二次世界大戦時、ポーランドで迫害され、戦後アルゼンチンに移り住んだ仕立職人のユダヤ人・アブラハム88歳。

子どもたちや孫も大勢いるが、足を病み・・・住み慣れた仕立屋兼自宅は売り払われ、老人施設に入ることに。
だが引っ越しの支度で出てきた1着のスーツを見てアブラハムはあることを決意する。

家族が皆帰ってしまったその日の深夜、家を抜け出しブエノスアイレスからマドリッド行きの航空券を手配、早速飛行機に乗り込むのだった・・・・・。
 

またひとつ、心に沁みる“お爺ちゃん映画”を観ました。

88歳のアブラハムを演じるのはアルゼンチン生まれのミゲル・アンヘル・ソラ。
1950年生まれですので実年齢よりも18歳も高齢のお爺ちゃんを演じたんですネ。
娘たちに家を売られてしまうなんて、なんて気の毒な!!と思いましたが、実はこのアブラハム、決して穏やかで優しいタイプのお爺ちゃんではありませんでした。

飛行機で隣の席になった青年にうんざりするほど話しかけて(閉口して退席したら)しめしめ・・・と二人分の席で足を伸ばしたり、
そうそう、そもそも、自分と写真を撮りたがらない孫娘との買収合戦からして、一筋縄ではいかないしたたかさが垣間見えます(孫娘はもっと上だったケド 苦笑)
たっぷりお金を持ってるのにしっかり値切る!「おじいちゃん」と呼びかけられたら「おまえはワシの孫か!?」と一喝!(でもそうだよ、スッキリ)
自分(父)への気持ちを言葉にすることが出来なかった正直者の娘のことを勘当した!なんてエピソードに「オイオイ~」と突っ込みたくなったりするのですが、この頑固者お爺ちゃん、どうにも憎めないタイプでもあるんです。
値切ったりするくせに困っていた若者にはポンとお金を渡すきっぷの良さ。

亡くなった親友の孫娘に旅券をとってもらい、足を引きずりながら向かった70年ぶりの(口には出せない)故郷への旅には、思いがけない出来事が待ち受けていました。
税関で止められた上、ようやくマドリッドの宿に付けば足の痛みからか寝過ごし乗るはずの飛行機には乗り遅れてしまう。
その上、全財産を盗まれ(すっごい大金持ってきてたのね!)てしまうという!!
窮地に陥ったアブラハムですが、旅先で彼が出会った人々はそれぞれの立場から出来ることをすることで彼の旅をなんとか支えようとしてくれたのでした。
飛行機で乗り合わせた青年、マドリッドの宿屋の女主人、ドイツ人の歴史学者、
その人たちとの触れ合いが決して、無理のある美談ではないこと・・・・、
勘当した娘との再会なんて、どんな感動が待っているのかと思ったのにネ、ビックリするほど正直な展開でしたヨ

おそらくもう再会することもないだろう人と人の出会いや別れを抒情的にではなく、フランクに、飾り立てることなく、描く。
アブラハムも人々もあくまで素のまま・・・それがなんとも気持ちいい。

作中にはホロコーストの恐怖の映像やアブラハムが受けただろう拷問のシーンなどは直接描かれてはいませんでした。
けれど、ドイツ人学者の女性にアブラハムが語った悲痛な記憶・・・、あのシーンのあの言葉のひとつひとつを忘れることが出来ません。
幸せだった日々のアブラハムの家族の笑いあう姿、文才のある妹の姿(アンネを重ね合わせてしまう)、後の恐ろしい出来事が逆に美しい日々を鮮やかに蘇らせて(涙)
彼の悲痛な告白を聞いた加害者側の国に生まれたドイツ人学者の女性、逃げることなくしっかりと受け止めた彼女の姿にも心打たれました。


若き日、ホロコーストを逃れたアブラハムを助けてくれた唯一の親友に最後のスーツを届ける。
ようやくたどり着いたポーランドの地からラストシーンまでは、アブラハムも感じている希望と不安がこちらにも伝わってやたらドキドキしてしまって・・・、
ラストシーンでは思わず涙腺崩壊してしまいました・・・涙涙涙。

「家へ帰ろう」
あぁ、この邦題、泣ける~~。


家へ帰ろう2

そうそう、仕立屋のアブラハム、旅行中に着こなすスーツがとても粋でしたネ♡
この写真のストライプの3ピース。水色の帽子とピンクのシャツ、柄物のスカーフなんて!どんな上級者テク!?

家へ帰ろう3

こちらの、ちょっとくすんだオレンジ色のカジュアルなスーツもいいナ♪

ちょっと偏屈だけど、なぜか行く先々で女性たちに助けられる88歳、粋な着こなしに見惚れました。
女性たちもそれぞれとても美人サンでしたヨーー。
  1. 映画タイトル(あ行)
  2. | trackback:1
  3. | comment:8
<<「輝ける人生」 | top | 「ともしび」>>


comment

お爺ちゃん映画

>一筋縄ではいかないしたたかさが垣間見えます

そうそう、なかなかしたたかで頑固、温厚な年寄りとは言えないけれど、なんとも憎めない人でしたね〜。なぜか次々美女に助けられてましたしね(笑)

>加害者側の国に生まれたドイツ人学者の女性、逃げることなくしっかりと受け止めた彼女の姿にも心打たれました。

私もこの人がとても印象に残りました。
アブラハムの過去の告白はショックでしたね。自分なら自分の生まれる前の出来事は自分には責任の取りようもないので、逃げてしまうと思います。日本とドイツの受けてきた教育の違いも感じました。

>ラストシーンでは思わず涙腺崩壊してしまいました

私もです!全体に淡々としててユーモラスで、お涙頂戴じゃないところが良かったです。
  1. 2019/10/18(Fri) 22:09:45 |
  2. URL |
  3. tonton #-
  4. [ 編集 ]

>tontonさん

こんばんは。

あっ!tontonさんご覧になってたのね、記事読み逃してる・・・私。
あとで感想読みに伺いますネ。

>なぜか次々美女に助けられてましたしね(笑)

そうでしたね~(笑)
頑固でヘンクツなところあるけれど、堂々としてるところがいいのかしら!(^^)!
ズルくないんですよね。

>自分なら自分の生まれる前の出来事は自分には責任の取りようもないので、逃げてしまうと思います。

うんうん、そうですよね。
でも彼女はしっかり受け止めて答えてましたね。
この駅のシーン、とても印象に残りました。

そしてあのラストシーン、
メガネのおじいちゃんが出てきた時、あっ・・・・この人だ!って分かるのよね、何も言わなくても。
そのあとはもう涙、涙・・・でした。

泣かせよう・・・としていないところが良かったですね。
娘との再会なんてえっ?これで終わり?って感じでしたね。


  1. 2019/10/19(Sat) 17:12:54 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

瞳さん、こちらにも。
私もこの映画、少し前に見てたのー。
公開当時、面白そうだから、映画館に行こうかとまで思った映画だったから、レンタル開始早々に借りたんだよ。

面白かったのだけど、どんでん返しとか、びっくりするような展開は無くて(そんな期待をする自分が悪いんだが)
でも、一期一会、途中の過程で出会う人のエピソードとか印象的だったよね。良いラストだったし、涙がぽろっと出てしまったよ。

感想、途中までで下書きに入っている状態です。
  1. 2019/10/30(Wed) 15:06:49 |
  2. URL |
  3. latifa #SFo5/nok
  4. [ 編集 ]

>latifaさん

こちらにもコメントありがとう♪
おお!!ご覧になったのね!!嬉しいーーー。
そちらでは劇場公開もあったのね!!

>面白かったのだけど、どんでん返しとか、びっくりするような展開は無くて

そうそう、そうでした!!
娘さんとの再会なんてね、あっけないーー(>_<)えっ、それでいいの!?ってくらい。

女性たち、みんな素敵でしたよね。
最後はもう泣いちゃったわ~~、あのメガネの人が出てきたとたん!どわ~~っと。
「家へ帰ろう」っていうタイトルも良かったなぁ。

感想楽しみにしていまーす。
またTBさせてね~♪
  1. 2019/10/30(Wed) 16:18:53 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

地味映画♪

瞳さん、おはようございます。
地味映画にオススメどうもありがとうございました!
UPしましたのでご確認くださいね。
未見なのでまだ感想は全部は読めないけど、
心にしみるお爺ちゃん映画だったそうで(^^
最近映画見るペースが遅い(UPも滞ってた)のでなかなか同じものがなくて残念だけど、これも楽しみにしています。

ところで(自分はやっぱり未見だけど)リリー・ジェームズ主演?の、島で読書会やる映画はご覧になりましたか?
本がからむとつい瞳さんを思い出してしまって(未見のなのに)話をふりたくなってしまう悪いクセ失礼しました・・(^^ゞちょっと面白そうだな~と思って~。
  1. 2019/11/01(Fri) 09:13:20 |
  2. URL |
  3. つるばら #OP2UcWyM
  4. [ 編集 ]

>つるばらさん

おはようございます。
おお!!もうUPしてくださったんですね!!早いーー!!
ありがとうございます♡

なかなかのツワモノお爺ちゃんが、美女たちに助けられるんですけど・・・・へんに感動的にしていないところが良かったです。
ラストはハンカチ必須です(涙)

「ガーンジ島の読書会の秘密」ですね♪
思い出してくださって嬉しいです。
実はとっても気になってるんですよ~、こちらでは今上映中で7日までなんですけど、なんとか滑り込んで観てきたいと思ってます。
リリー・ジェームズ、好きです。とかいいつつ、リリー・コリンズと時々ごっちゃになっちゃう・・という!(^^)!


  1. 2019/11/01(Fri) 10:26:28 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

瞳さん~これ見ましたよ!
久々に涙涙~で・・爺さん二人が見つめ合ってる図に涙腺崩壊って可笑し過ぎる~・・と茶化しながらも涙止まりませんでした。
最初は、同じく、偏屈ジジイと思ってたけどね。(笑)
彼が言う「聞いたんじゃない、この目で見た」が重くて・・
だからと言って、その視点だけじゃなく、ちゃんとイマと未来にも目を向けて描かれているのがとても良かったです。
スーツの着こなし、カッコ良かったですね。

>心に沁みる“お爺ちゃん映画”を観ました
・・・・・あ、瞳さん、「お爺ちゃん」って言ったら、「お前はわしの孫か?」って言われるよ~(笑)そこはジジイで!(違)
  1. 2022/05/20(Fri) 09:42:00 |
  2. URL |
  3. つるばら #OP2UcWyM
  4. [ 編集 ]

>つるばらさん

こちらにもコメントありがとうございます。
ご覧になったのね~♪
そうなんですよ。今そのシーン思い出しただけでももう、うるうる~ってきてしまいます。
偏屈ジジイでしたよね~(笑)でもモテモテでしたね!(^^)!
スーツも決まっててね!!

>だからと言って、その視点だけじゃなく、ちゃんとイマと未来にも目を向けて描かれているのがとても良かったです。
ああっ!まさにそうですね。
過去の暗い悲しい出来事ばかりじゃなく、そこを受け止めてちゃんと未来へと向かってるところが嬉しいですよね。

>「お爺ちゃん」って言ったら、「お前はわしの孫か?」って言われるよ~(笑)そこはジジイで!(違)
あははははは~~(爆笑)
確かに言われそう、喝!されそう(笑)
  1. 2022/05/21(Sat) 09:03:35 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

comment


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバック URL
http://teapleasebook.blog26.fc2.com/tb.php/1147-552c3058
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

「家へ帰ろう」「バジュランギおじさんと、小さな迷子」感想

ロードムービー2つ
  1. 2019/11/29(Fri) 14:44:26 |
  2. ポコアポコヤ 映画倉庫