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Slow Dream

縁あって・・・本や映画と巡りあう。




「かごの中の瞳」 :: 2019/05/27(Mon)

かごの中の瞳

ジーナは保険会社に勤める夫のジェームズと、彼の赴任先のタイ・バンコクで幸せな結婚生活を送っていた。
子供の頃の交通事故で失明してしまったジーナだが、ジェームズの献身的な支えで、何の不自由もなく暮らしている。
そんな2人の悩みと言えば、なかなか子供ができないことぐらいだった。
ある日、医師のすすめで角膜移植を決意したジーナは、片目の視力を取り戻す。喜びに震えるジーナの瞳が捉えたのは、想像していたナイトのように頼もしい素敵な夫ではなく、地味で平凡な中年男の姿だった。心の奥底に眠っていた好奇心や冒険心が目を覚ましたジーナは、髪を染め流行のファッションで着飾り、外の世界へと飛び出していく。一方のジェームズは、徐々に嫉妬と疑念の思いを抱き始めていた。ところが突然、ジーナが再び視力を失い始める——。

              <公式サイト より>



ブレイク・ライヴリー(『ロスト・バケーション』すごく良かった♪)主演のサスペンスミステリーということでレンタル。

目の見えないヒロインが事件に巻き込まれるという映画って多いのだけれど、
本作は逆に、目が見えるようになったことから生まれてゆく夫婦間の愛情のゆがみや嫉妬、疑惑を描いていて・・・いろいろ考えさせられるところが多かったナ。

手術前のジーナの視界を描いたゆがんだり、重複したりしてる映像も独特でとても印象的!!
こういう世界を(頭の中の)想像でいろいろ補って生きてきたんだろうなあ~と想像させられたし、
片目だけれども視力を取り戻した彼女が目にした夫の現実の容姿や、自分たちが住んでいたアパート、こういうものが想像とは違ってた・・・というのは、すごく分かる気がしました。
たとえば、小説の主人公の姿を勝手に想像していたら・・・・映像化された時に「えっ・・・、(私の思ってたのと)違うナ~~」と思う、あの気持ちにちょっと近いような。
ジーナも何年も夫の姿を脳内で想像しつづけていたのとは違っていたのだろうし、かえって、想像通り!!ってこと、なかなかないと思う。

ただ、違っていたという容姿よりももっと悲しかったのは、色のついた世界、見える世界を取り戻した彼女の喜びや楽しさを、夫がそこまで共有してくれなかったことじゃないだろうか。
ジェイソン・クラークは、本作の夫役にドンピシャ!と思うのは失礼かしら~(苦笑)
いや、決してカッコ悪くないし、なかなか渋いイイ顔だと思うのよ~、ただちょっと“悪いヤツ”にもなれるよ的な顔じゃない!?
まだ見えない時の彼女がお店で迷子になって・・・、彼の名前を呼んでいるのに(それを知ってたのに)ちょっと駆け付けるのに間があるというシーンがありました。
ほら、自分がいないと彼女はダメなんだ・・・という、そして、それをちゃんと彼女が認識?しないとね・・みたいな、自己満足的な表情にちょっとゾクっとさせられましたヨ。

ジーナは見えるようになってどんどんと美しく華やかになっていきましたが、変わってしまった・・というよりは、もともと彼女が持っていたものだったように思え(見えない時もダンス、激しく踊ってたし!)ました。
見える世界で好奇心がいっぱいに膨らんだり、やれなかったことを自分でやれる喜びや自信が湧いてくる・・・・そういう妻の輝きを大きな気持ちで受け止めたり、一緒に楽しんだり、面白がったり・・・できるタイプの夫ではなかったのだよねぇーー。
何年も自分に守られる妻=幸せな夫婦という結婚生活だと思ってきた夫との・・・・想いのズレがじわじわ~~っと忍び寄る。

サスペンスミステリーなのだけれど、見えなかった時と視力が戻ってきた時の妻と夫二人の、それぞれの戸惑いの想いがすごく丁寧に描かれていて・・・、
人間ドラマ(結婚ドラマ?)的にもいろいろ考えさせられちゃうところ、さすが、マーク・フォースター監督
大人しい妻から、どんどん輝きを増して、けれども、失望や疑念が影を落とすヒロインを演じたブレイク・ライヴリー、とっても良かった♪
でもそれ以上に、自分を頼らなくてもしっかりと立っていける妻の姿に不安や嫉妬を覚え・・・、焦りのあまり許されないことまでしてしまう・・・夫を演じたジェイソン・クラークが抜群!!
何度も言うけど、顔的にもナイスキャスティング

得手勝手ではあるし、やったことは(目薬!)絶対許されることではないんだけれど、
コンサートで歌う彼女を見た夫の表情がなんとも哀しくて・・・、苦かった~~~。

互いに嘘をついたり、疑念を抱きあったりする前に、もっと本音をぶつけ合えばなんとかなったのではないか・・・なんて、サスペンス映画ぽくない思いまで渦巻くなあ。
見える、見えないよりも・・・見ようとしてなかったのは・・・お互いだった気がするから。

  1. 映画タイトル(か行)
  2. | trackback:1
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comment

これも、「女王陛下」も面白そうですね。
瞳さんのブログ、いつも参考にさせてもらってます。
「モリーズゲーム」もこちらで読んで観てみました。ジェシカ・チャスティン、本当にドンピシャ。強くて頭の回転のいい役がよく似合いますね〜。

ブレイク・ライヴリー、「旅するジーンズ」の子ですね。すっかり大人になって。
ジェイソン・クラーク、思わず顔チェックしてしまった(笑)
見ようによってはカッコいいし渋いけど、どこか暗い感じもあり、うん、分かります。瞳さんの言いたいこと!(笑)
  1. 2019/05/27(Mon) 23:27:41 |
  2. URL |
  3. tonton #-
  4. [ 編集 ]

顔チェック、ふふふ(笑)

>tontonさん

いつも読んでくれてありがとうございます。
「女王陛下のお気に入り」面白かったですよーー!!すっごく生々しくって!!

本作もサスペンスなんだけど、普通の夫婦にも当てはまるような部分があって・・・観終わってからもいろいろ考えちゃいました。
自分の知らない相手の部分をどれだけ受け入れられるか・・・っていうのって、普遍的な問題だと思うから。
そうそう!!「旅するジーンズ」!!の!(^^)!
そしてライアン・レイノルズの奥さんなのね~♪
ジェイソン・クラーク、わーい、分かってもらえた~(笑)
これがね、オーランドのような誰が観ても王子様タイプのイケメンなら(ヘヘ !(^^)!)奥さん想像と違ってた・・・なんて言えんだろ!?と内心突っ込みながら見てましたi-235

「モリーズ・ゲーム」観たんですね!!
うんうん、ぴったりでしたよねーー。見ごたえありましたね。
  1. 2019/05/28(Tue) 17:51:51 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

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「かごの中の瞳」感想

目が見えなかったのが、手術で見える様になった、というのは、すごく嬉しい事だろうと思いきや・・・
  1. 2019/05/28(Tue) 07:42:51 |
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