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Slow Dream

縁あって・・・本や映画と巡りあう。




「マイ・ブックショップ」 :: 2019/05/14(Tue)

マイブックショップ

1959年のイギリス、海辺の小さな町。
戦争で夫を亡くしたフローレンスは、それまで一軒も書店がなかった町に夫との夢だった書店を開こうとする。
保守的な町でそれを快く思わない町の有力者ガマート夫人の嫌がらせに遭いながらも何とか開店にこじつける。
レイ・ブラッドベリの「華氏451度」など、先進的な作品を精力的に紹介し、書店は物珍しさで多くの住民がつめかける。
だがガマート夫人の画策により、次第に経営が立ち行かなくなっていく。
フローレンスの味方は40年も邸宅に引きこもっている読書好きの老紳士ブランディッシュ氏だけ――。

                <公式サイト より>




※↓ ネタバレしています。未見の方はご注意くださいね。

楽しみにしていた作品!!ホールソレイユさん、上映してくれてありがとう
先に買って(観てから読もうと)温存してた原作のラストページ、最後の1行が目に入ってしまい・・・・
その辛い言葉にどうか、映画はここまで厳しくありませんように~と願っていましたが、あぁ良かった、ちゃんと彼女の勇気、希望が繋がっていた・・・と感じられるラストでした。
コイシュ監督、好きだーー(笑)

とはいえ、なんて厳しい現実だったことでしょう。

マイブック7

海辺の小さな町、街の有力者が牛耳り、噂話があっという間に広がる・・・・、開く前から、銀行も弁護士も全くやる気なし。
そもそも5年間も空き家だったのに、フローレンスが書店を開こうとしたとたんに持ちあがる芸術センター計画って

マイブック9

コイシュ監督の『しあわせへのまわり道』では、とっても素敵なヒロインを演じていたパトリシア・クラークソンが、本作ではフローレンスに立ちはだかる街の有力者ガマート夫人。
(夫の)資産やコネをフル活用して、決して表立って手を下しているように見せないところが余計に腹立たしいわ~!!そして何が一番腹が立ったって・・・、ブランディッシュ老人に関するあの嘘!!(しかも夫に言わせてるし)
好きな女優さんですよ~~、彼女はでも、演技派だからこういう役もとっても上手いのでね・・・、なんというか、こういうヒト絶対いるゾ!と思わせるのよね。

マイブック2

ヒロイン、フローレンスを演じたエミリー・モーティマーの、強い意志を持ちながらどこか柔らかな雰囲気も併せ持つ・・・、暖かな雰囲気がとても素敵♪
入り浸りたいと思う、落ち着いた佇まいの「オールドハウス ブックショップ」に並ぶ、素敵な装丁の本の数々・・・、
食い入るように観てしまった(笑)スクリーンに映る本のタイトル!!
『華氏451度』はいろんな意味で(最後のシーンのこともあって)この映画にピッタリの本だし、なるほど~!!当時はさぞや・・・と思う、『ロリータ』!!
ブラッドベリ好きとしてはブランディッシュ老人が待ち焦がれた『たんぽぽのお酒』に泣けてしまう・・・。

マイブック5

まあーー!!それにしてもビル・ナイの素敵さには惚れ惚れしちゃったな
あんなにドキドキしたお茶のシーンは久々そして、打ちひしがれたフローレンスを勇気づける海岸のシーンは、どんなラブシーンよりも胸を打つものでした。向かい合う二人にやたらドキマギしちゃいましたよ~。

フローレンスの勇気ある奮闘は、“奪うもの”によって、最終的には全て取り上げられてしまいます。
そういう意味では全然ハッピーエンドではありませんが、冒頭から語られていたナレーターの正体が明かされるラストシーンは、繋がれていった本への愛情、希望が感じられて・・・・・、とても嬉しく感じました。
あの石油ストーブのくだりにはビックリ!
「華氏451度」繋がり?からくるものだと想像しますが・・・、クリスティーン!!やっちゃった
「グリーンさんは優しすぎる~~」クリスティーンには歯がゆい思いがいっぱいだったのでしょう。


天気がくるくる変わり、どこか寂しげで海風が吹き寄せる海辺の町の風景、
湿気てそうな、でもどっしりとして趣ある古い建物・・・、
ファッションも期待通り、とっても素敵でした。
ビル・ナイの、イギリス紳士ファッションに見惚れ、
ガマート夫妻の上流社会ファッションに驚き!!そしてなにより!フローレンスの普段着

マイブック8
マイブック6

プリントのブラウスやワンピースにカーディガン、ケープやグリーンのレインコート・・・・緑が似合う!
本を包む紙や紐などなど・・・小物使いにも目を奪われた上に、お茶のシーンが思った以上にあったことも嬉しい。
クリスティーンとのお茶の時間では、まあるい手編みのポットカバーの可愛くて。中国製の漆のお盆に目をつけるとはクリスティーン、やりますね

マイブック3

こちらはちょっと緊張感も漂う、ブランディッシュ氏とのティータイム。
真っ白のテーブルクロスを一緒に敷いて、お茶はミルクが先でたっぷりと・・・、アイシングのかかった素朴なケーキも美味しそう・・、でもなんだかやたらドキドキしちゃったお茶の時間でした。
そうそう、いけすかないミロ・ノースの家では、インスタントコーヒーの話題が出てましたね。この時代は珍しいものだったのね。


さて、改めて、これまで出会った本に感謝。
本が好きになったきっかけを作ってくれた、子どもの私に「少年少女世界名作全集」を取り寄せてくれた母と、
学生時代に通った(旺文社文庫がずらり~と並んだ)近所の書店に感謝。
それを思い出させてくれたこの映画にありがとう

書籍も電子化がどんどん進む社会だけれど、死ぬまで紙の本を手にしたい。

  1. 映画タイトル(ま行)
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comment

こんにちは

こんにちは。
「少年少女世界名作全集」…こういうものをきちんと読破しているイマドキの子供っているのかな?と心配になるほど、手にとってページをめくる本の存在が段々薄れてきている時代だと思います。
でも、ページをめくって読む本はまた格別ですよね。あの手触りや匂いも含めて。
思えば私が小さい時に母が購入してくれたのは「ケストナー全集」と「ドリトル先生シリーズ全巻」でした。「ドリトル先生」の本についていた栞の独特さは今でも覚えております。
…なんて、全然映画の話のコメントではなくてすみません!!
  1. 2019/05/16(Thu) 12:59:31 |
  2. URL |
  3. ここなつ #/qX1gsKM
  4. [ 編集 ]

>ここなつさん、

コメントありがとうございます♪
本のお話!嬉しいですよーーー。
確かに「世界名作全集」って最近は無いのかな。以前ラジオで小川洋子さんも子どもの頃、毎月届いて楽しみだった!ってお話してました。同世代~(笑)

「ケストナー全集」と「ドリトル先生シリーズ全巻」おおっ!!いいですねーー、
ケストナー、大好きです。世界名作にも入ってましたっけ。

こういう映画を観ると昔行ってた小さな書店とかを思い出します。
今や、(ネットや電子化で)書店は大ピンチ・・・なのが悲しいですね。
  1. 2019/05/16(Thu) 15:57:22 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

こちらにもきました(笑)
パトリシア・クラークソン、抜けるような色の白さとチュチュのようなドレスで、まあかわいいこと!でもとっても憎たらしい人でしたね。
ビル・ナイの水分抜けた枯れ木のような紳士ぶりも見所でした。
辛いお話ですが、ヒロインのドレスをはじめ、目には楽しい映画で、印象に残る場面がいっぱい。

ところでケストナーは私も大好きでした。子供の頃、子供の本がない家でしたので、自分の子にはせっせと本を買い与えましたが全く読まず。うまくいかないものです(笑)
  1. 2019/05/16(Thu) 21:45:00 |
  2. URL |
  3. tonton #-
  4. [ 編集 ]

>tontonさん

感想読みにきてくれてありがとうございます。

クラークソン、綺麗でしたよね~、品が良くてね。
きっと自分よりも目立つ?ことをしようとする(特に)女性はつぶしておかなきゃ!!というタイプなのでしょうね。

>ビル・ナイの水分抜けた枯れ木のような紳士ぶりも

ぷぷぷ~~(笑)確かに!!
何か策があってガマート夫人に立ち向かうのかと思えば、意外にも直球勝負でしたね!!

舞台やファッション、お茶のシーンと嬉しい見どころいっぱいでした。
なにより原作と比べたら・・・やさしい、優しい~~!(^^)!

おっ、tontonさんもケストナー好きなのね♪
子どもさんにせっせと本を!?
そっかぁ、我が家はそれぞれ自分の好きな方面の本とかは読んでるみたいですよ~。
  1. 2019/05/17(Fri) 11:03:06 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

瞳さん、こんにちは!
これ、恥ずかしながら全然知らずにいて、借りて来て見てる最中、これ絶対瞳さん好きそうー!って思って、こちらに来たら、劇場鑑賞されていたのねー!さすがーー(*^。^*)

いやー、ラストの展開さておき、ビルナイおじさまの素敵さといい、風景、衣装、お茶のシーン、どれを取っても壺ツボーー!すっごく好みだったわ。

で・・・
すごくわがままなお願いしてもいい・・・?
小説お読みになったのよね?
映画より酷いらしいのだけど、こっそりラストの展開を教えて頂けないでしょうか・・・。
ごめんなさい、ずうずうしいこと言って・・・
(わしのブログの秘密コメントとか使って頂いて・・)
  1. 2019/11/12(Tue) 12:17:31 |
  2. URL |
  3. latifa #SFo5/nok
  4. [ 編集 ]

>latifaさん

こんにちは。
わーーい、ご覧になったのね!嬉しくて、速攻感想読みに行ってコメント入れてきました(*^-^*)
これはね、どうしても劇場で観たくって。

>いやー、ラストの展開さておき、ビルナイおじさまの素敵さといい、風景、衣装、お茶のシーン、どれを取っても壺ツボーー!すっごく好みだったわ。

私もーーー(笑)
目を凝らして観ちゃいましたよ。
ファッション、真似したい~って思うわ。緑って難しい色だけど、彼女本当に似合ってましたよね。

ラストの展開!!もちろん~~(*^-^*)全然OKです♪
そちらの鍵付きコメントに入れてきました。
改めて原作出して見たけど、やっぱり映画は優しくて良かった・・・と改めて思ったわ。

  1. 2019/11/12(Tue) 13:14:21 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

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奇しくも両方に、エミリー・モーティマーさんが出てました。
  1. 2019/11/12(Tue) 12:13:47 |
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