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Slow Dream

縁あって・・・本や映画と巡りあう。




「希望のかなた」 :: 2018/12/20(Thu)

希望のかなた

内戦が激化する故郷シリアを逃れた青年カーリドは、生き別れた妹を探して、偶然にも北欧フィンランドの首都ヘルシンキに流れつく。
空爆で全てを失くした今、彼の唯一の望みは妹を見つけだすこと。
ヨーロッパを悩ます難民危機のあおりか、この街でも差別や暴力にさらされるカーリドだったが、レストランオーナーのヴィクストロムは彼に救いの手をさしのべ、自身のレストランへカーリドを雇い入れる。
そんなヴィクストロムもまた、行きづまった過去を捨て、人生をやり直そうとしていた。
それぞれの未来を探す2人はやがて“家族”となり、彼らの人生には希望の光がさし始めるが…。

              <公式サイト より>




※↓ ラストシーンに触れています。未見の方はご注意くださいね。


アキ・カウリスマキ監督作品、前作の『ル・アーブルの靴みがき』以来です。
本作も(前作に続き)難民をテーマにした作品。今、まさにヨーロッパが・・・というより世界が抱える大きな問題だと思います。

「いい人の住むいい国」に偶然流れ着いた(石炭の中から顔を出す冒頭のシーン、ビックリ!)カーリド。
ですが、難民申請は却下され、故郷へ強制送還されることに・・・
そこまで重大な危機はないと判断された!その故郷に爆弾が落とされ、病院が爆破された!!という悲惨なニュースが流れているというのに・・・・。

どこか寓話的な雰囲気があった前作に比べると、本作はより現実的。
原題は『希望の反対側』という意味。こうした政府の対応や、差別的なネオナチの存在、希望と反対側にある絶望的な現実を描いているのでしょう。

けれども、やはりカウリスマキワールド。
登場人物たちは、声高にその辛さや苦しさ・・・を叫ぶことはしません。
難民申請の面接時に淡々とこれまでのいきさつを話すカーリド。婚約者も死に、妹以外の家族を殺され、たった一人残った身内の妹ともはぐれてしまった・・!!フィンランドにたどり着くまでにどれほど辛い目にあい、恐ろしい体験をしてきただろう・・・と思うのに。

それは、カーリドと出会い、彼を助けることになったヴィクストロムたちにも言えること。
何を考えているのか?表情からは読み取れない、カウリスマキワールドの人々。

そして、そんな人々の気持ちを代弁するかのように、流れるミュージシャンたちの歌・・・♪

希望のかなた4

希望のかなた3

こういう色使いも、やっぱりカウリスマキですネ

カティ

カウリスマキのミューズ、カティ・オウティネンも顔を見せてくれましたよ。
そうそう、可愛いワンちゃんも

何のゆかりもないはずのカーリドに救いの手を差し伸べるヴィクストロムたちも、決して恵まれているわけではなく、どこか孤独を抱えた人々・・・。
なぜ助けるのか?そのわけが語られることもなく、やっぱりみんな無表情なカウリスマキワールドなんですね。
そんなヴィクストロムたちの善意が、ついにはカーリドの妹を呼び寄せることが出来た!!
妻と再会したヴィクストロムにも心暖まる展開が♪
希望が見え始めた矢先の・・・ネオナチの襲撃が辛すぎる~~(涙)
いったいどのくらいの重症なのか、ここでも説明されることはないのヨ~~!!
借りていた倉庫がきちんと片付けられてるところを見ると命にかかわるほどではないの❓いや、でも迷惑がかからないようにとの彼らしい思いなのか・・・・。
(自分もお金に困っているだろうと思うのに、路上のミュージシャンにコインをあげてましたね)

彼の唯一の希望だった妹との再会、それを果たしたカーリドの(ラストシーンの)表情は不思議なほど清々しいものでした。
ワンちゃんと見つめる先には何があるのでしょう?

難民申請却下やネオナチからの暴力!!
いい国と言われた場所で絶望を味わいながら、市井の人々から救われ、希望をもらったカーリド。
誰もが声高に何かを訴えるわけではない、淡々と語られるカウリスマキワールド。
でも、だからこそ!!その静かな怒りに心を動かされました。じわじわじわじわ~~~、監督の怒りが伝わってくるのです。


希望のかなた2

重いテーマを扱った、監督の怒りを感じた本作、
けれど、ズーン!!と重さに沈むことないのは、こういう不思議ユーモアなシーンがあるからでしょうね(笑)
寿司レストランにチャレンジ~~、ぷぷぷーーー(笑)すし飯よりも大きな、あのわさびの量ったら!!
ヴィクストロムが奥さんに離婚を申し出るシーンも、テーブルの巨大なサボテンにビックリ(笑)、
開業資金を稼ぎにポーカーに挑戦する場面なんて、無表情な登場人物たちにクスクス笑ってしまったなぁ。ポーカー向き(笑)

いつまでも、カウリスマキワールド、貫き通して欲しいな。
  1. WOWOW鑑賞作品
  2. | trackback:1
  3. | comment:2
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comment

瞳さん、こんにちは
少し前に見たのに、結構忘れていて、ぎょぎょ…

いやー、、、重症だよね・・・?
保険とかも入ってないだろうから、病院にも簡単に行けないだろうし・・・シンパイ・・・。

でも、カリウスマキらしい映画で楽しませてもらいました^^
  1. 2018/12/21(Fri) 09:36:00 |
  2. URL |
  3. latifa #SFo5/nok
  4. [ 編集 ]

>latifaさん

こんにちは~。
親指大丈夫?無理しないでね~。

レストランの人たちを頼らなかったのは、もう無理だと悟ったからか・・・、迷惑をかけると思ったからなのか・・・(>_<)
どちらにしても辛いね。

監督の怒りを感じたな~、でもやっぱりカウリスマキワールドだったね。
  1. 2018/12/21(Fri) 13:08:25 |
  2. URL |
  3. 瞳 #-
  4. [ 編集 ]

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「希望のかなた」感想

直球で難民問題を描いていたのね・・・
  1. 2018/12/21(Fri) 09:39:34 |
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