2008
09.17

「向かいの窓」

向かいの窓向かいの窓
(2007/10/13)
アンドレア・グエラ

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ローマで夫と二人の子どもと暮らすジョバンナ。
夜勤ばかりする夫と意見が合わず、最近では言い争うこともしょっちゅうのこと。
ケーキ職人になる夢もあきらめかけた彼女の、密かな心の慰めは向かいの窓から見える若い青年の姿だった。

そんなある日、記憶喪失で迷子になっていた老人を夫フィリッポが家に連れ帰ってしまう・・。



結婚9年目、倦怠期の夫婦。
ジョバンナがいうほど夫フィリッポは悪い夫ではないと思うんだけど・・、なにより子供たちを愛しているし。
でも、世話好きで老人を連れ帰っておきながら、あとのフォローはいい加減だったり・・というところを見るとこれまでにも結構こういうことがあったのかなあと思ったり、夜勤の夫とのすれ違い生活もあったりして。
夕食のあと、ジョバンナが窓辺でタバコをくゆらす・・ひとりの時間。
向かいの窓に素敵な男性の姿を見たら、そこはやっぱり気になるというものですよね(笑)


そんなささやかな彼女の想い、届くはずのない密かな思いが、迷い込んできた老人によって思いがけなく「恋」に発展してしまう。
警察に連れてゆく途中でいなくなってしまった老人を探すジョバンナの手助けをする「向かいの」青年ロレンツォ。(彼は、そのメガネといい、「ラブアクチュアリー」の時のロドリゴ・サントロに似てるわ~)
実は彼も向かいの窓からジョバンナを想い、密かに見つめ続けていた・・。

こう書くと、なんだ、結局そうなるんだ・・って思っちゃうのですが、この映画、ただこの二人の恋の物語だけを描いているのではないところがいいんです。


記憶を無くした迷い人の老人。
過去の幻影に苦しみ、さ迷い歩き・・。
時折挟まれる、老人の若き日のシーンも気になって、いったい彼がどんな人生を歩んできたのか、彼を苦しめているものがなんなのか・・・。
だんだんとその謎が明かされてゆくのと、ジョバンナとロレンツォの距離が近づいていく・・、ふたつの物語がなんとも魅力的に絡まりあっていて、作品に深みと味わいが生まれています。


老人がつぶやいた謎の言葉を聞いたロレンツォは、ジョバンナにそのことを電話で伝えます。
それは「愛の言葉」。
それを彼女に話す彼の目線、聞く彼女の表情。
まだ、互いに思いを伝え合っていない二人なのに・・その愛の言葉を自分達の感情に置き換えているに違いない・・そんな気持ちが二人の表情から伝わってきて・・。
こういうシーンって、へたなラブシーンよりももっとドキドキするんですよーー!!

老人が恋人へあてた(出せなかった)手紙、この文面が悲しいほど美しい。
「君と別れてから 赤は赤ではなく
 空も青さを失った
 木々の緑も色あせ 二人の思い出だけが鮮やかに残る ・・・・・・・」

手紙は最後にこう結ばれます。
「・・・・・よい世の中になったとはいえない。
 君を失ってしまったのだから・・・」

これには・・・・泣けてしまいました。

老人の恋の相手は誰なのか、どうして叶わなかったのか。それはぜひ、映画を観て知って欲しい。
彼の悲しみを感じて欲しい。
老人を演じるのは、マッシモ・ジロッティ。「郵便配達は2度ベルを鳴らす」のあの方ですね。
この作品が遺作となってしまったそうです。


(互いに窓越しに見つめるだけだったのが)見詰め合うようになったジョバンナとロレンツォにも、運命の岐路が訪れます。
思い切って、彼の部屋を訪ねたジョバンナ。
思いが高まる二人の姿にもドキドキですが、彼女が(ロレンツォの部屋から)向かいの窓、つまり自分のアパートを見た時の、あの表情がなんともいえません。
妻であり、母であるジョバンナを引き止める・・日常の光景・・。
夫と子供達の姿をそこに見た・・・彼女の気持ち。


恋の行方とともにもうひとつ気になるのが、ジョバンナの夢。
実は高名な菓子職人であった老人とともに彼女がお菓子を作るシーンには、ワクワクしてしまいます。


舞台となるアパートの窓、互いに向かい合った、この窓も雰囲気があって素敵でした。
窓ももう一つの主役でしょうか。

そして、なんと言っても、ジョバンナを演じたジョバンナ・メッツォジェルノ,、彼女の美しさ。
久しぶりに美しい人を見たな・・って思います。
物語が進むにつれ、どんどんと美しく、艶が増してくる彼女。

画像 221358
画像 221359

家の中ではブルーの部屋着やナイトガウン姿が素敵だった彼女、
外では赤の服が多かったですね、どちらもとてもよく似合います。

画像 221356

エンドクレジットの流れる中、じっと見つめてくる彼女の眼差しから目を離すことはできません。
憂いを帯びた美しい瞳には、悲しみと一緒に強い力が宿っているようです。


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コメント
お邪魔します~~
お勧めありがとう♪。とっても良かったわよ・・・。
私の感想に瞳さんの感想リンクしちゃった・・・(いいかな)
青年ロレンツォ→「ラブアクチュアリー」の時のロドリゴ・サントロに似てるわ~。そう!!思ったわ。
インテリ系で、ちょっとふらふら私もしそうだわ・・・笑
私もあの電話でのシーンはドキドキ。
あれって絶対、自分たちの感情も入り乱れていますよね・・・
見つめあう目が物語っていたし・・・

窓辺から日常をみるめるあのシーンもいいわよね。
私も彼女の選択に一票入れるわ。

ラストシーンも含め、演出が良かったわ。共感しまくりでした。
迷わず日常、送っていきたいです~~笑
みみこdot 2008.09.24 00:42 | 編集
>みみこさん、
まあっ、みみこさん、早速観てくれたんですね~!!
とっても良かった!?うわうわ・・嬉しいーーー!!(笑)
うんうん、これね、絶対みみこさんにお薦めしたいと思ったんですよね。

感想リンク・もちろん嬉しいです。いつでも貼っちゃってくださいませ(笑)
ね!ね!ロドリゴに似てましたよね、あの時の!!

電話のシーン、ドキドキしちゃいましたよね。
あの言葉にふたりの感情がかぶってゆくの・・。
彼女が向かいの窓から、自分のアパートを見つめるシーンもすごく良かったですよね。
すごく辛いけど、切ないけど、彼女の選択が分かるのよね。でも・・階段を駆け下りてゆくのだけれど・・。あのときの粉のついた手もね、印象的でしたよね。

良かった~!!みみこさんにも共感しえもらえたので、地味映画でお薦めに回っちゃおうかな(笑)
イタリア映画祭で上映されたそうなのですけど、日本未公開作品なのですよね。
みみこさんの感想、あとで読みに伺いますね~。
dot 2008.09.24 19:53 | 編集
お邪魔します!秋はこういう感じの作品を観てみたいんですよね。恋愛作品はフランスかイタリア映画がいいと思うんです♪特にジョバンナとロレンツォの役者さん2人がモロ私の好みだし!!DVDを是非探しにいきます。hitomiさんありがとう♪

そうそう、ここで言うのも何ですが・・・・ダーク騎士は、あまりにも遊びのないアメコミで私は息苦しかったです。
ベールもヒースも素晴らしいんだけど、見ていて息ができない剃刀の演技なんだもの。もう少し軽妙さが欲しかったかしら。ノーラン監督の演出はアメコミにリアリティを持ち込んだということで、評価は高いんだと思いますが、私はバートン作品の方が好きですね。
どこにも存在しないゴッサムシティがバットマンの肝だと思うので、USのどこかの街っぽいのはダメです。

なんとなくですが、夢を持てない現在のUSの病巣を感じました。(だからせめて一般市民にはああいう選択をさせたと・・・・)
じゅらいdot 2008.10.09 21:06 | 編集
>じゅらいさん
こちらにもコメントありがとう♪
うんうん、恋愛ものはイタリア&フランスもの、いいですね!!
なんともいえない、情感があるんですよね。
おおっ、じゅらいさんの好みでしたか。ぜひぜひ、秋にしっとりとご覧になってくださいな。
謎の老人の若き日の恋にも・・泣けちゃいます。

ああっ、「ダークナイト」、じゅらいさんもそう感じました?
巷での評判があまりにいいので、ずどーーんと落ち込んでゆく私って・・と思ったんだけど。
>見ていて息ができない剃刀の演技なんだもの
うん!まさにそのとおりでした!
バートン監督の、遊び心、いいですよね。
アメコミの舞台としては、あのゴッサムシティーはあまりにリアリティがありすぎて・・、あの街の住民には絶対なりたくない!って思いましたよ。

>夢を持てない現在のUSの病巣
うん、分かります、感じましたね。
でもだからこそ、せめて映画の中だけでは・・って私なんかは思ってしまいますよ。

へへ、私の今年のアメコミヒット作は、やっぱり「アイアンマン」かな(笑)
dot 2008.10.10 07:57 | 編集
ご無沙汰してしまいました~。
留守にも関らず、ご訪問頂いて本当に感謝しています。
昨日、tsurubaraさんに起こしてもらって ようやく夏眠から目覚めました(^^;)
そして 瞳さんがこの映画をお薦め下さったお陰で 海外ドラマに首までどっぷり浸かって居たところを 何とか映画に戻れそうな気分になってきました~!(笑)

それにしても素敵な映画でした。
ジョヴァンナとロレンツォの恋も切なかったけれど それと交差するジロッティさんの過去も哀しくて それに美味しそうなケーキたちが色を添えて 哀愁の漂う大人の寓話になっていましたね。
「娼婦と鯨」を観た時に感じた感動と同じものがありました。
本当に素敵な作品を教えてくれて ありがとうございました!!

長くなりますが 瞳さんの鑑賞作品に興味津々ですよ~。
ロバジュニの「アイアンマン」良さそうですね。
ロバジュニにこういう役ってどうなの??と思っていましたが 意外とイケそう?(笑)
そして「スルース」観たいわぁ~~~
この二人、雰囲気が似ていますよね。
若い頃のマイケル・ケインはジュードに劣らず素敵でしたものね。
「ここに幸あり」も観たいし、でも・・「SAW」シリーズ制覇の瞳さんには尊敬の眼差しです!!
私もいろいろと感想を溜めてしまっているので ぼちぼちになりますが アップ出来たらいいなぁ~と思っています。(希望的観測)

秋もいよいよ本番、本格的に涼しくなりましたね。
瞳さんもお体大切にお過ごし下さい~。
またお邪魔しますね(^^ゞ)
カポdot 2008.10.14 09:18 | 編集
>カポさん
うわーー、お帰りを待ってましたよ~♪
お目覚めしたばかりなのに、ご訪問ありがとうございます。
おお!!しかも、もうこの作品、見てくださったのですね!!嬉しいな。

海外ドラマにはまってるカポさん(どれを見てるか気になる~笑)を映画の魅力に引き戻せたとは!!お薦めして良かったです。
>ジョヴァンナとロレンツォの恋も切なかったけれど それと交差するジロッティさんの過去も哀しくて それに美味しそうなケーキたちが色を添えて 哀愁の漂う大人の寓話になっていましたね。
あぁ、カポさん、なんて素敵なコメントでしょう。
なんだかじわ~っと思い出して胸がいっぱいになっちゃいました。

「娼婦と鯨」ああっ、これも見なくっちゃ!!

ほかにもいろいろレビュー見てくださってありがとう。
いやいや~、もうジャンル、ばらばらなチョイスでしょう(笑)
うんうん、「アイアンマン」良かったですよぉ。ロバジュニ、イケます。イケます!!(笑)
「スルース」これもお薦めです。
そうですよね、どこか雰囲気とか似てますよね。
そうすると・・・いつかジュードは今度はケインの役を・・?なぁんて(笑)
SAWシリーズは・・・いったいどうしてこんなことに・・?制覇しちゃってますよねぇ(苦笑)
「5」が11月にまたあるのですよ・・どこまでついていけるかしら。

カポさんも、お休み中に素敵な作品に会えましたか~。
またお薦めありましたら、教えてくださいね。
感想も楽しみにしています(あ、でもお目覚めしたばかりですので無理はなさらないでくださいね~)

朝晩は、冷え込むようになってきましたよね。
カポさんもご自愛くださいませ。
あとで遊びに伺いますね~♪
dot 2008.10.14 21:33 | 編集
瞳さん、こんばんは。
オススメの作品、やっと見ました!
・・が、↑皆さん、素敵だったとか割合ロマで冷静な(?)感想みたいですが・・実は私には思いがけず、想像以上に苦しくて痛い作品でした。
・・と言うのも、まだまだ自分自身が中途半端な人生送っているからに他ならないせいでしょう・・。
思うに、もっと自分が人並みな感覚、或いは強い精神力を持っていれば、もっとこの作品を真正面から客観的に見られたんじゃないかと。
自分にはそんな余裕みたいなものがまだまだ足りないなぁ~・・と。
なんか意味不明ですが、多少詳しい感想はこそっと自分の所に書いてます・・(それも意味不明ですが?)
でも、そう言うことを再認識させてもらえて、良い刺激になりました。それにこの作品は本当に掘り出し物ですよね。どうも有難うございました。また色々オススメおしえてくださいね。(^^ゞ
ついでに・・ロレンツォは私にはシーナ&ロケッツの人に見えましたが~~ゞ( ̄∇ ̄;とことん、この感覚をどうにかして~;;
tsurubaradot 2008.11.15 00:06 | 編集
>tsurubaraさん
ご覧になったんですね~!!
おお!・・っ・・、tsurubaraさんには苦しくて、痛い作品に!?
客観的に見れなくて・・ということかしら?
・・ああっ、tsurubaraさんにいったい何が~~~!!と・・、ものすごくいろいろ想像してしまいますよぉーー。
感想、あとで読みに伺いますね。

恋の部分もそうですが、彼女の自立についても、確かにいろいろな思いを抱いてしまうし・・。
そういうところも、tsurubaraさんに「痛い」思いをさせた部分なのかしら。
では、きっと最後の、あの彼女のまなざし・・、いっそうtsurubaraさんの心に刻まれちゃったのかもしれませんね。

ロレンツォは、シーナ&ロケッツ!?んん~?すぐに顔が浮かばないけど~~、気になる~(笑)



dot 2008.11.16 01:47 | 編集
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