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2018
03.07

「スリービルボード」

スリービルボード

ミズーリ州の小さな町。
娘を殺されたミルドレッドは7か月経っても犯人を逮捕できない警察に業を煮やし、抗議のため町はずれに巨大な3枚の広告看板を設置する。

そのことを快く思わない警察や住民とミルドレッドの間には、諍いが生まれ、悪意の連鎖が広がっていく・・・。
やがて思いもよらない事態も発生し・・・!!


※↓ネタバレしています。未見の方はご注意くださいね。

第90回アカデミー賞、主演女優賞、助演男優賞受賞

なかなか時間が合わなくて観にいけてなかった作品、ようやく観れました。劇場で観れて良かった♪

娘を殺した犯人を探し出せない警察への抗議のため、巨大な看板に広告を出した母ミルドレッド。
そのことが波紋を呼び、小さな町にはさまざまな感情が広がっていく~。
犯人捜しのミステリー、クライムサスペンスというよりは、深い人間ドラマでした。
深くて、そしてとても驚きに満ちた人間ドラマでした。

冒頭は、ミルドレッドに同情し、警察何やっとるん!!という思い。

署長

ウッディ・ハレルソン演じる署長!いかにも何かやっとりそうだ・・・なんて思っていたのに、ところが!これがそうじゃなく。
捜査しても手がかりが全く無い、DNA捜査もすべての人に出来るわけもない。
人望も厚く家庭では良き夫であり、パパであり、さらに気の毒なことに癌を患っていた・・・!

そんな署長の事情を知った上で、ムチ打つかのようにどこまでも突っ走るミルドレッド

つなぎ
このつなぎ姿!似合う~♪
強くて逞しい!!でも、気持ちは分かるけどちょっと激しすぎる。
やりすぎでは・・・・?という気持ちも徐々に感じてしまう。
いったい誰に感情移入すればいいのか(いじめに耐えてるであろう、息子ちゃん・・か
感情のもって行き場に悩む中、登場人物で唯一「コイツは絶対にアカンーーー!!」と確信していたのがサム・ロックウェル演じるディクソン。
差別的で、職務もちゃんとやってるとは思えず。
ついには、怒りにまかせレッドに暴力をふるうシーンが怖すぎる。

他人への不満は憤りを呼び、憤りが怒りになり、怒りはやがて恐ろしい暴力へ向かう。
こうなると留まるところをしらない悪意はミルドレッドをも駆り立ててゆく・・・。
3枚の看板に書かれた「抗議の言葉」が投げかけたものが、さまざまな人を巻き込んで悪意の連鎖を起こす様に・・・観ていてすっかり飲み込まれてしまいました。

いったいどうなってしまうんだろうという絶望感を変えたものは、自ら命を絶った署長(自殺のシーンにはとても驚きました!!)が残した手紙と一杯のオレンジジュースでした。
ディクソンを庇うなんて目が節穴じゃん!とまで思ってしまってた署長死後彼にあてた手紙はディクソンの心を動かし、爆風に飛ばされながらも必死で捜査資料を守った。
そして、なんと同じ病室になってしまったディクソンに(被害者)レッドが差し出した優しさ・・・が彼に涙を流させる。

絶対コイツだけはアカンーー!!と思っていたディクソンが、後半変わっていくなんて・・・・想像もしていませんでした。

この人、こういう人なんだ、きっと!と見てる方は思いこむけれど、いやいや、人って見えてる部分だけじゃないんだ・・と。
強く糾弾するミルドレッドの怒りの中には(生前娘に優しくしてやれなかった)自分への怒りもあったと思う。
心の中には、それはもういろんな感情が渦巻いていて、悪意や好意もそれが表に出たり、裏にあったり・・・と人の心はなんて複雑だろう。
悪意は悪意を呼ぶけれど、優しさや思いやりは善意となって伝わり、やがては負の感情を変えてくれる・・・。

「悪意には悪意が来たる」なんて一番言いそうにない人物が知ってたり、
包帯グルグルの彼の正体を知ってなお、それでも、震える手で差し出されたジュースに泣けました。


まさか!冒頭からは想像も出来なかったミルドレッドとディクソンの二人車中旅🚙!!
犯人が明らかになることは無かったけれど、ラストシーンのこの不思議な穏やかさ(きっと二人は殺しはしないと思う)が嬉しい。

いろんな意味で、本当に驚かされた人間ドラマでした。
燃えさかる看板火事のシーンや、警察署爆破!なんていう派手なシーンもあったのも驚きでした。


暴力景観

フランシス・マクドーマンドの主演女優賞、サム・ロックウェルの助演男優賞、納得の素晴らしい演技でした。
ウッディ・ハレルソン、アン・コーニッシュ、『マンチェスター・バイ・ザ・シー』のルーカス・ヘッジズ君も良かったな~♪
そして個人的には、『X-MEN』で注目して『アンチヴァイナル』でやられた~!!と驚かされたケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、久々に観れました!!いい役でしたね♪

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コメント
瞳さん、こんにちは^^
おおー!同じ時期に同じ映画をー!
嬉しいなー。

いやー、凄く良かったね、この映画。
正直、全く期待してなかったんだけど、予想をはるか
越える出来で、脚本が素晴らしかったよね。

そうそう、オレンジジュース!
泣けたわー。

まさか、最後あの2人がドライブだなんてね。
私も殺さない方に一票。
そうあって欲しいね。。。
latifadot 2018.03.07 19:26 | 編集
>Latifaさん

こんばんは。
おおっ、もしやLatifaさんも観てきたのかな!?
それは嬉しい~♪

あとで感想読みに伺いますね。

すごく良かったわ~!!人間ドラマとは聞いてたけど、ここまで驚かされるとは・・・。
脚本、素晴らしかった。

震える手で差し出したオレンジジュース、泣けますよね。
決して強い人間じゃない、普通の若者っぽいレッドだからこそ、よけい心が震えたわ。

ラストのドライブも想像できなかったよね。
>私も殺さない方に一票。
そうあって欲しいね。。。
うんうん、悪意に取りつかれていた2人だったらありえるけど、ミルドレッドが最後にちょっと笑ったよね。あの顔見たらきっと大丈夫って思います~。

キャストもみんな素晴らしかったなぁ。
dot 2018.03.07 21:45 | 編集
こんばんは

アカデミー受賞しましたね!お二人さん。
素晴らしい。当然ですわ。
とても難しい役だったと思うから、お二人とも。
劇中で感情が激変する役なので、ほんとうに繊細な演技力が要求されますものね。
悪役にも善人役にもなれる演技派の俳優さんでないと。

クライムサスペンスではなく
人間そのものがサスペンスだと感じさせてくれる作品でした。
小説で言えば直木賞ではなく芥川賞の重厚さがある映画でしたね。
ななdot 2018.03.08 01:18 | 編集
瞳さんの感想読んで、レッド役のケイレブくんに注目。
改めて、やられたらやり返す暴力の連鎖をあんな軟弱そうな若者が止めたことに感動です。アメリカの南部男の風潮を今時の若者だからこそ、虚しいと感じたのかもしれませんね。

>「コイツは絶対にアカンーーー!!」

ほんとほんと!(笑)絶対そう思いますよね。
こんな単細胞暴力男にも愛すべき良心があったことがこの映画最大の見所かも?
アカデミー賞も納得ですね。

フランシス・マクドーマンド、アカデミー授賞式でも急に若返ったりしてなくて(笑)ファッションも、彼女らしい感じでしたね。

tontondot 2018.03.08 10:56 | 編集
>ななさん

おはようございます。
獲りましたね~!!

>劇中で感情が激変する役なので、ほんとうに繊細な演技力が要求されますものね。
悪役にも善人役にもなれる演技派の俳優さんでないと。

そうですよね。
強気なミルドレッドも時折、心が揺れたり・・最後のふとした笑顔も心に残りました。
ディクソンは・・・難しい役でしたよね!!サム・ロックウェル、素晴らしかったーー!!

作品賞も・・・・!と思いましたが「シェイプ・・・」でしたね。
こちらは来週観に行くの、楽しみにしています。

>人間そのものがサスペンスだと感じさせてくれる作品でした。
小説で言えば直木賞ではなく芥川賞の重厚さがある映画でしたね

人間そのものがサスペンス!!まさにそうでした。
ななさんの例えに頷きます。

音楽の使い方も良かったなぁ~♪


dot 2018.03.09 10:22 | 編集
>tontonさん

おはようございます。

ケイレブ君、良かったよね~♪
>やられたらやり返す暴力の連鎖をあんな軟弱そうな若者が止めたことに感動です

そうそう、どっちにも丸め込まれそうな若者がね・・・、あんなひどい目にあったのに・・・。
包帯男に何か言い返したり、やり返すどころか・・・でしたものね。あの優しさが悪意の連鎖をす~~~っと消滅させましたね。
彼主演の「アンチヴァイラル」は、とっても変わった映画ですが・・・私は結構ハマりましたよ(笑)キャラクタードンピシャ!です。シアーシャちゃんの「ビザンチウム」でも印象的でした。

サム・ロックウエルの助演賞は納得ですよね!!
これほどの難しい役を自然にみせるってなかなかできない。

>フランシス・マクドーマンド、アカデミー授賞式でも急に若返ったりしてなくて(笑)ファッションも、彼女らしい感じでしたね。

ほんと~!!そうでした(笑)
彼女のオスカー像(盗んだヤツ、許せん~!!SNSで流すなんてバカ!?)戻ってきて良かったですね。

dot 2018.03.09 10:34 | 編集
こちらにも。
結構好きです。賞はこちらかな…と思ったのですが
サム・ロックウェルの助演男優はおしていたので
うれしかったです。ケイレブ君も良かったよね。
アンチは未見だけど。こういう作品で出会うのはうれしいわ。
マクドーマンド、つなぎ姿、似合いすぎ・・爆
予想通りの展開も多い中、この作品は着地点が全然わからなくって、面白かったですよね。
テーマもさりげなくいろいろあって、なかなかに魅力的な
映画でした。ウッディ・ハレルソンのあのシーンには
ビックリしたなあ~~
みみこdot 2018.03.14 16:27 | 編集
>みみこさん

こちらにもコメントありがとう。

私もこれ好きです~♪
作品賞と脚本賞はこれかな・・・って思いました。

サム・ロックウェルはとっても上手い俳優さんだけど、本作でも唸るほど上手かったわーー。
助演賞嬉しいですよね。
ケイレブ君も良かった!!
「アンチ」の彼、スゴイですよ。あれは彼しか出来ないかなあって感じです(笑)

>予想通りの展開も多い中、この作品は着地点が全然わからなくって、面白かったですよね

まさにそうでした!!
ここまで予想できないドラマって・・・・。
いろいろ予想を裏切られましたよね。
署長、てっきり何かやってるかと思っちゃって・・・スミマセン。
「オスカーワイルド・・・」の台詞にも泣けちゃったな。
dot 2018.03.15 17:15 | 編集
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